私の思うゴミ野郎共へ

第1話


この手紙は、誰宛でもない。

ただ私が感じ、思った、物語だ。




「げぇ……」

再度の嘔吐。

一日で三回も吐瀉した人など、この世に数えるほどしかいないのに、なぜそれが私なんだ……

彼、威は苛まれる。

自身の不幸に。

「いや……でも………」

彼の家は貧乏で、何もない。

だが唯一教えられたのは、「モノを残すな」という美徳。

言われてみれば当たり前のことでも、富裕層はいつの間にかその常識を忘れてしまう。

威はその現象を自身の中で、「催眠」と呼ぶ。

「……ぺろ」

彼は治らない癖に従い、自身の吐瀉物を舐め始めた。

そして、再度胃に押し込んだ。

たとえまた吐こうとも。


「うぇ……」



四回目が来る、そんな時だった。






チュ







彼は狭い道端で、誰かにキスをされた。

頬でもなく、頭でもなく、唇に。

まるで植物が水をもらうように自然に。





「え?」






そして彼は、また同じものを同じ場所に吐いた、はずだった。







「ぉ''ええ''ええ''ええ''…」



べちゃべちゃべちゃ……







汚らしい音と共に、その誰かは彼の口から出た汚物を、両の手で大切に受け止めた。

そして一滴残らず彼が吐き出したのち、誰かはこう言った。



「君、汚いよ」



非難の声、を浴びたはず。

だと言うのに、威は泣いていた。

喉の焼けるような痛みと、ファーストキスに。




「ぁぇ………」




声もうまく出ないような状態。だと言うのに威の前に立つ女は彼に立つことを強制し、下を向かせた。




「君にはこれから、私の

を飲んでもらいます、いや、食べてもらいます」





「……」






何が起こっているのかわからない。

だけど微妙は空気は、その静止を許さない。






「さぁ……」















ジュルジュル………

















彼は全てを飲み込んだのち、こう思った。









やっぱまずいと。

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