第13話 人の世話なんか焼くもんじゃない

京都には10月の終わりくらいに行くつもりで

連絡したのよね。


なのに、従姉妹が自分の母親が二回も転んで寝たきりみたいになってて、施設を変えて欲しいと言ってきて、それできょうだい三人で話し合いをするから、その時に合わせて来て欲しいと言われたんだよね。


こう言う時に、こちらの事情も伝えて断ればいいのにできないのは私の悪いところ。


週末に帰るはずの息子をグループホームに

泊まれるように調整したり、ヘルパーさんの事業所二ヶ所へ連絡したりする。

それだけでもしんどくなり、帰れない息子は

拗ねるしで。


それでも、電話で従姉妹も悩んでいるようだからせめて顔合わせて話だけでも聞いた方がいいかもと思う。


従姉妹からは三人の話し合いにも立ち会って欲しいと何回か言われたけど、さんきょうだいの

誰が叔母の面倒をみるか?

またか、、。

前もこの話になった時の修羅場を思い出すと

正直しんどいのだ。


東京の長男はお酒を飲み出し、声もデカくなり

暴言吐きまくる。

父の酒乱の体験もあり、お酒を飲んで大声だしたり、荒くなる男性が苦手なのだ。


まあ、叔母も悪い。

昔からきょうだいで差をつけて育ててきたのだし。

長男なんか

「あの子のことなんか訳わからへん。

よう育てんわ。」

と祖母にこぼしてたし、実際、夏休みとかも

長男だけ祖母のところへ預けられてたから。

大阪から東京へ裸一貫で出て行って、会社を立ち上げて成功したら、ころりと態度を変えて

今度はお金のことばかり。


そら、怒るのも無理は無いんだけど、、。


末っ子はお金があればパチンコに使い込みしたり変な投資したりで借金作っては長男が

払っていたらしい。


そんな事があるから、話が過去へと戻り

熾烈な暴言になってしまうわけだ。


私も親の作った借金を返すためだけに働いた20代だったので、気持ちはわかる。

わかるだけに、なんとも言えないのだ。


今回はさんきょうだいの話には参加しないよと

何とか伝えた。

まずまず、私にしては言えたな。


京都の叔母は元気そうで安心したが、

従姉妹の顔は暗いし、ランチを食べながら

翌日の話し合いの事を考えるとしんどいと

半泣き。

美味しいはずのランチの味なんかわからない。

過去の辛かった話とかも出てくる、出てくる。

叔父が会社潰れかけて家もなくなってからの話は聞いてて、しんどさがズンズンくる。


京都駅まで送ると言うのを断り、ひとりになり

ほっとした。

そしたら、お腹が空いて、何だか甘いものがやたらに食べたい。

ほうじ茶ゼリーを買って食べる。

やれやれ。


今日になり、LINEで無事に話し合いはすんだと言う。叔母は東京の長男に面倒見て欲しかったのだが、メールしても返信もなかったので

諦めたそうだ。

それで、今のまんま、末っ子が面倒みるで

ちゃんちゃん。


末っ子は叔母の通帳を預かり、使い込みしてるようだけど、それは言えなかったとのこと。


まあ、仕方ないよ。きょうだいだから言えない事もあるし、そこを突っ込んでも

喧嘩になるだけ。


生真面目で心配性の従姉妹はこれからも

叔母がワガママを言うたびに振り回されていくんだろうなぁ。

と思いながら、自分も父が死んで、もう関係も無い継母の事で義妹から振り回されそうになってるのを思い出し苦笑いする。


まったく、損な性格だなぁ、、。


人の揉め事に首を突っ込むのは辞めようと

つくづく思ったのである。

残り少ないかもしれない自分の人生を

自分の為に使わないと死ぬ時に後悔するわ。


ちーーん。

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