第4話 九月七日

実は二週間前から落ち込んでましたね。


それは、仕事の事なの。

68歳の知的な障害のある人で、親が亡くなり、

市営住宅で一人暮らしを希望でしておられました。

ゴミ屋敷を何度も片付けに行きましたね。


大腸癌と肺がんが見つかり、いろんな治療をして、そのフォローをさせていただいてましたが、副作用で命そのものが危険と判断されて抗がん剤は中止になりました。


あとは残りを

どう過ごしたいか?


本人は一人暮らしを続けたいと言うのですが

もう、身の回りの事をやる体力が無くなり、

家では失禁が至る所にされるようになりました。

何とか説得して、ナーシングホームに入居して

昼間は作業所に来ると言うことで納得されたんですね。


最後にうちの作業所に来たあとから、動けなくなられました。

身寄りも無いので、やはりナーシングホームで良かったんだと思いました。


亡くなったのは土曜日の早朝。

なのに、こちらへ連絡があったのは火曜日の夕方。

しかも、巡視の最後は22時。

朝の巡視ではすでに亡くなっていたそう。


すんごく、腹がたちました。

もう、尿も出てないと聞いてましたし、

わかるでしょうよ!

看護師ならさ、危ないことくらいさ!

なんで、巡視の時間がこんなに空いてんだよ!

寝てたのかよ!


たったひとりで息をひきとらせてしまったんだと思うと、夜間だけでも泊まりに付き添いできなかったのか。

そうしなかった自分にも激怒。


福祉職員達の

「可哀想で涙が出そうです〜。」

を聞いて、爆発しそうな怒りの感情を

抑えまくりました。


人が亡くなるのを見た事がないんでしょうね。


と言う訳で眠れないんですよ。






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