第8話 ロッテンマイヤー女子

ああ、頭が痛いったら。

スイスから来たあの子。

頭がおかしいのよ。

やらかしまくりじゃない?

ネズミや猫や訳のわかんない生き物連れ込むわ、パンはドレッサーの引き出しに隠してるわ。カビカビるんるんじゃない。

さっぱり、アーベーツェーも覚えらんないじゃない!!


あの子が来たせいで、絹のハンカチーフ、どれだけ噛みちぎったか。

「キーーー!」


思い返せば、あたくしは貴族の末裔とは言うものの、頼り無い父は投資話に騙されて、

土地もお屋敷も無くしてしまった。

働かない父の代わりにお母様は金持ち商人の

子供達のピアノや教養を身につけさせる

仕事をなさる事にしたのよね。


あのぐうたら親父!


お母様は、これからは女性も学問が大切よ、

花嫁修行なんて意味ないわ!!

と、あたくしを学校に行かせてくださった。

あたくし、やりましたわ。

成績はいつも1番☝️。

前途揚々ーー😻


と思ったら、なんでしょう?

家柄の良い子やお金持ち商人の子は

卒業したら結婚したではありませんの。


なんておバカなんでしょう?

冗談じゃありませんことよ。

あたくしは、職業夫人になりますわ。


ところが女性で働くところなんてありませんでした。

がっくりしているところへゼーゼマン様から

お嬢様の家庭教師兼お屋敷の管理を任される

そんな仕事が舞い込みましたの。


あたくし、飛び上がりましたわ。

奥様は亡くなっていたし、足の悪いお嬢様だけ

ご主人様はいつも不在。


あたくしの天下!

ふん!結婚なんかで、一家の取り仕切りを

任されなくても、あたくしにもできますから。


ビッシ、ビッシ‼️とあたくしのお城を作りあげましたわ。

おーほほほほほほほほほほほほほ。


なのに、アーデルハイトが来てからは

乱れに乱れ。

お嬢様も反抗しやがる。ちっ。

おまけに、大奥様、クソババアがちゃちゃ入れる。

なんだってのよ。

悪者だよ、知らないうちに。


あー、行きたくないっ。

なんで、アルムの山なんざに行く羽目になったんだろか、、。

小汚い獣がたくさんいるって言うじゃなぁーい。


なんだかな、結婚しとけば良かったと思っちゃうわけよ。

お母様、時代が悪いですわ。

まだまだ、女性の自立って時代じゃありませんでした。


愚痴はこのくらいにして。

「チネッテーーー‼️

お嬢様のお支度は出来たのですか?

んまあ!まだ、これだけ!

一体お前は何をしてたんですか??」

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