第3話 距離
「残りの3ヶ月、僕と一緒に過ごしませんか?」
急だった、だからとてもびっくりして頭が追いついていない。
でもとても真剣な裕太さんの顔、冗談ではないようだ。
「考える時間が欲しいです。」
何を言っているんだ、私は。確かに彼といると落ち着くし、楽しいと思った。
でも、今誰かをを好きになってしまったら、愛してしまったら別れが辛い。胸が苦しくなる。
それなら一人の方がマシなのに。そう一人で考え込んでいると、彼は一人で話し始めた。
「実は、僕も祖母が入院してて、今はもう帰らぬ人となってしまいましたが。ちょうど、3日前だったんです。祖母が亡くなったの。そのとき僕も頭が真っ白で、そしたら瑠奈さんとぶつかって正気を取り戻せました。僕も両親はいなくて唯一ずっと一緒にいたのが、祖母だったのでびっくりしました。大切な人がいなくなるにって、こんなに辛いんだなって。」
ああ、私だけじゃないんだ。じゃあ今、裕太さんも一人なんだ。
私は、自分のことよりも裕太さんの方が辛いと思った。もしこれから一緒にいて、お互いが特別な関係になったりでもしたら、私がいなくなって一番辛いのは裕太さんじゃん。
体が勝手に動いた。裕太さんを抱きしめた。
「ちょ!?瑠奈さん!どうしたんですか?近いです!」
「すいません!なんか、体が勝手に、、」
しばらく沈黙が続き、風が流れる音がした。
「瑠奈さん。やっぱり、僕と一緒に3ヶ月を過ごそう。」
また、裕太さんは真剣な顔で言う。こんな私で本当にいいにか?辛い思いをさせないか。心配になった。
だけど、私の中にはもう裕太さんがいた。
「私が死んだら、悲しい思いをさせるかもしれません。それでも、いいですか?」
私は、問いかけた。
「はい。お互いのことをもっと知って、友達になろう。」
彼は真剣な眼差しで言った。
「はい。よろしくお願いします。」
心臓が、ドキドキする。急に縮まる距離に心臓がうるさかった。
出会ってまだそんなに経たないのに、なぜかこの先ずっと一緒にいたいと思った。初めての感情に胸が高まる。
「瑠奈さん、毎日は無理ですがま会いに来てもいいですか?」
裕太さんは私に問いかけた。
「もちろんです。!」
私は嬉しかった。自分のことを考えていてくれるひとがいて。
その時の私は、病気のことを忘れたかのように、幸せを感じたのだ。
2日後—
(コン、コン、コン)
「はい。」
「失礼します。瑠奈さん、こんにちわ!」
裕太さんだ。誰かがお見舞いに来てくれるって、こんなに嬉しいことなのか。
「裕太さんこんにちわ。」
私は、笑顔で挨拶をする。
真っ暗だったこれからの3ヶ月が、少しずつ明るく灯されていく。
【続く】
余命3ヶ月の私は恋をした。 海月.(くらげ.) @kurage00m
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