第2話 僕と一緒に

入院して、3日が経った。

何もすることがない。だから病院の中を歩いていた。


「あの、すみません、、」


誰かに話しかけらた。

忘れもしない声、包み込まれるような優しい声。あの人だ、この前ぶつかった。あの人。


「はい。なんですか、?」


私は振り返った、彼の顔はとても優しくて、少し微笑んでる顔が素敵だった。

彼は微笑んで言った。


「この前、ぶつかってしまいましたよね?あの後大丈夫でしたか、?」


あぁ、見られてたんだ。泣いてたところ、恥ずかしい。


「はい。大丈夫ですよ。」


私は作り笑顔をして返事をした。


「その、ここの患者さんだったなんて知らなくてこの前はすみませんでした。」


少し険しい顔をして謝る彼。

彼の声はとても優しくて美しい。彼の声をもっと聞きたい。

今更私が、こんなことを言っても許されるのか、?

そう思いながら、勇気を振り絞って言う。


「あの、ならお詫びに飲み物奢ってください」


、、、しばらく無言だった。


「あ、やっぱり今のなしで─」


「いいですよ!」


彼は満面の笑みで言う。彼について行く。

久しぶりだ。誰かと一緒に何かを飲むのは、

屋上について、彼にコーヒーを奢ってもらった。どうでもい

い世間話をしながら飲むコーヒーは、とても美味しかった。

時間が進んでいく。彼の優しい声、だけど聞いたことがあるような声。

なんでだろう?彼の声を聞き続けると、とても悲しくなってくる。

彼は私に言った。


「お名前聞いてもいいですか?」


私は嬉しかった。もっと彼と仲良くなりたい。

「はい。私の名前は、保科瑠奈です。あなたのお名前は?」

彼は言う。

「僕の名前は、沢村裕太です。」

良い名前だなあ、、

しばらく沈黙が続いていると、彼は私にこう言った。

「どうして、入院されてるんですか?」

話したくも思い出したくもない、私の病気。でも、裕太さんに打ち明けることにした。

「癌です。もうすでに末期で、残りわずかなんです。」

苦笑いをしながら話した。


「どうして、瑠奈さんは無理に笑ってるんですか?」


その一言で、一気に涙が流れた。

そう。本当は信じたくもないし、私一人で死んでいくのも寂しかったのだ。

「実は私、残り3ヶ月なんです。私両親もいないし、友達もいなくて知り合いは仲も良くない仕事場の上司と同僚だけ。だから、誰にも見送られずに死ぬのは怖いし、寂しかったんです。」

泣きながら話した。

何を言ってるんだ、裕太さんがこんな話を聞いて楽しいわけないじゃん。

「話してくれてありがとうございます。辛かったですよね。」

なんて優しいんだ。今、心に余裕のない私には、とても安心する言葉だった。

この人と一緒にいたい。そう思ったときだった。


「残りの3ヶ月、僕と一緒に過ごしませんか?」


【続く】






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