第3話

ボクは知り合いの整形外科医と心理療法士に

連絡をした。

二人ともボクの仕事内容の意を汲んでくれ、

快く申し出を承諾してくれた。

 まずボクは両手指の指紋を復元することから

始めようと思った。

 人間を個体識別するにはそれがもっとも

手っ取り早いだろうと考えたからだった。

だが作業は予想以上に困難を極めた。

ともかく、現物がないうえに、あらゆる

データベースが消されていることが

わかったからだった。

しかし、手だてが一つだけあった。

それは恋人の部屋に残されていたボクの

指紋を採取することだった。


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