第4話4日目
それにしてもスーラの食欲には驚かされる。
牛乳や煮干しだけでく、人参、じゃがいも、食パン等々をあげてみたが、どれもこれもあっという間に消化吸収してしまう。
もうすでに1リットルの水筒には収まりきれなくなっていた。2リットルのペットボトルを用意して、そこに住まわせる。
テーブルにビニールシートを広げて、そこにスーラを置いてみる。プルプルと震えながらスーラは流れることなくテーブルの上に置かれた。水のようだけど、水ではない。
ぷにぷにとした触り心地は最高だ。
僕は音楽をかけてみた。
音楽を聞いたスーラはリズムにあわせて動きだす。そう言えばリズムで動くおもちゃがあったよな。それみたいだ。
ロックの音楽の時は激しく揺れ、バラードの時はゆっくりと揺れる。
クラシックを聞かせると穏やかな波のように揺れた。どうやらスーラはクラシックが好きなようだ。クラシックを聞いているスーラは楽しそうに静かに小さな波をたてて揺れていた。
夕方になり、僕は2リットルのペットボトルにスーラを入れて、晩御飯を買いにでかけた。あと数日で完全な無職になるが先のことは考えたくない。セールになっていたカンチューハイとコロッケとサラダを買い込む。コロッケにもサラダにも割り引きシールがはられている。無職目前の僕は贅沢なんてできない。
今晩もスーラとお酒を飲もうかな。スーラはお酒を飲むとほんのりと温かくなり、いい触り心地になる。
スーパーの帰り道であのコンビニの店員とすれちがった。彼女はうつむきながら、時々振り向きあたりをキョロキョロしながら立ち去っていく。まるで何かに怯えているようだ。
でもあかの他人の僕は彼女に何をしてあげることもできない。それに声をかける勇気なんて僕にはないしね。
その日の夜、お酒を飲んで温かくなったスーラをペットボトルにいれて一緒に眠った。布団をスーラが温かくしてくれたので気持ちよく眠ることができた。
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