第7話 練習と空

 ピアノの練習を再開してから数日、ピアノの感覚を少しずつ思い出している。


 指があまり転がらないようになったし、薬指と小指も力が入るようになってきた。


 せっかくだから新しい楽譜を買おうかと思う。スバルに何の楽譜がいいか聴いてみる。


「ピアノの楽譜を買おうと思うんだけど何がいい」


「今やってる曲のやつとか」


「おk かってくるー」


とLINE。


 近くのコンビニへと自転車を漕ぐ。四月になったのにまだ寒い。


 手袋をしてこなかった自分に少し苛立ちを覚えながらも進む。


 コンビニで楽譜をプリントをして、あったかいココアを買って、来た道を帰る。寒い。


 家についてシャワーを浴びた。流石に寒すぎた。寒すぎて何も考えられない。


 シャワーをあびて氷が溶けたように体が動くようになった。


 化粧水をつけたり、髪の毛を乾かしたりした後ですぐにピアノに手を置く。


 買ってきた楽譜をなぞるように練習する。久しぶりなだけあって現役でやっていた時よりも覚えがかなり悪い。まぁ、仕方ないか。


 今日は楽譜を買う以外の予定がないのでただただ練習に集中できる。


 時々アイスクリームを食べながら、時々せんべいを食べながら、一日中練習に没頭した。


 充実した一日だった。

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