第8話 2層も3層も
「これで終わりだっ!!!」
最後に残ったゴブリンの首を刈り取り、魔石を拾う。
俺達は2層に入ってから、龍蔵について行く形で進んでいる。魔物が気持ち1層よりも多いかな?と言うくらいで、スライムとゴブリンしか出てこない。正直まだまだワンパンで通れてしまっているので作業感が強くなってきた。
「ちょっとスピード上げてボス部屋まで頑張っていかないか?」
「今って何時だ?」
「ちょっとまってね、今は18時半だね」
「18時半か〜」
和哉の提案は、5層にある中ボスの部屋に行こうという物だった。今から急いで5層に向かって、帰るってなると結構時間がかかりそうだからな……。
「龍蔵は門限大丈夫か?」
「俺は大丈夫だが……そういう和哉は厳しくなかったか?」
「ふっふっふっ、俺は高校生になった時に補導されない時間までならいいと言われてあるのだ!連絡は入れないといけないけどな、遅くなるって」
「分かった、なら走るぞ」
「「「おう!」」」
――――
そのあとは苦戦することも無く5層に続くの階段付近までたどり着いた、そこで龍蔵がストップをかけた。
「待ってくれ、その階段のすぐ横に通路がある」
「横?壁しかないけど……」
「龍蔵、確かなんだな?」
「あぁ、段々とこの魔法の使い方が分かってきたからな」
「分かった、和哉頼めるか?」
「任せろ、唸れ!俺の拳よ!!」
こういう荒事は和哉がやりたがるので、何か言う前に与えている。やはり、臆病なことを隠して日常を過ごすのはストレスが多いみたいだ。
「っしゃあ!壊れたぜ!」
「ありがとう、和哉」
和哉が壊した壁の先にあったのは宝箱だった。
「ね、ねぇあれってもしかして、ダンジョンボックスじゃない?」
「俺のデータもそうだと強く言っている」
「春馬、ダンジョンボックスなんて滅多にお目にかかれないぞ」
3人が驚くのも無理は無い、かく言う俺も驚愕しすぎて声が出ない。
ダンジョンボックスとはダンジョンの行き止まり等にたまに設置されている謎の箱だ。中身を取り出したあと人知れずその箱はどこかに消えている。基本的にこんなに初期のダンジョンなら残っているはずのないダンジョンボックス。
「もしかして、空間魔法の新しい使い方なのか?龍蔵の使い方は」
「俺のデータには無いな、空間魔法について発表されていることはあらかた調べたつもりだが」
「っていうことは、僕達はダンジョンボックスを……」
「独り占めできるってことか!?」
「まだ見付かっていない、隠されたものだけはもしかしたら、ありえるかもしれない」
「とりあえず開けてみないか?時間も少ないしな」
「龍蔵の言う通りだぜ……ゴクリ」
全員で箱の前に集まり、箱を開けると……
「これは、スキル書……か?」
「いや、これは魔導書だよ!これだけで100万円くらいの価値はあるはずだよ!」
「望、お前魔導書なんて見た事あるのか?」
「写真だけ、だけどね」
「魔導書って、確か読むだけで魔法の属性が1つ増えるんだっけ?」
「そんな感じだった気がする……」
「これはとりあえずしまっておいて、先に進もう。詳しいことは帰ってから調べるってことで」
「そうだな、ここは俺のデータに任せておいてくれ」
「さぁ、進もう」
龍蔵のネタなのか本心なのか分からない発言をスルーして5層への道を進んだ。
――――
ダンジョンには5層ごとにボスが存在する、次の層以降に進むためにはボスを倒すことが必要不可欠な造りになっている。
「ここが、ボスの部屋か」
「よしっ、ここを倒して帰ろうぜ!」
「準備はいい?開けるよ?」
「いつでも準備は出来ている」
ボスの部屋にたどり着いた俺達は目の前にある、どデカい扉を開いた。
――――――
☆あとがき☆
少しでも続きが気になったりしたら応援、星をつけていただけると嬉しいです。
この作品がひと段落ついたら新作を投稿しようと思います。ジャンルは学園ラブコメの予定です。
まだまだこの作品はひと段落つきませんが笑
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