第四章 第一節

 少年が一人で歩いている。


 少年はこの荒廃した町で、まったくの一人であることを知っている。


 手に持ったカラシニコフの重みが、それを教えてくれるのだ。


 少年の肩が叩かれる。


 少年の眼には、一人の少女が映っていた。


「きゃははは! きょうはいっぱいころせるよ」


 少女は言う。


「ああ。そうだね」


 少年は応える。


「なにもかんがえることなく」


 少女は楽しそうに言う。


「何にも囚われることなく」


 少年は口元に笑みを湛えて。


「あれ? でもでも、守るものはあるよね」


 少女はおどけて言う。


「ああ、だからこそさ」


 少年は少女を見る。


「ええ、だからこそ」


 砂煙が、真っ白な少女を避けて漂う。


「「ゲームは、難しければ難しいほど面白い」」


 今までと、何も変わりはしない。


「「手に汗を握る展開ほど、楽しいものはない」」

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