第7話 電話
なんだか急に電話を母がかけてきて、何が何やらわからない話をする。
私が子どもの頃、自分は本当にいろんなことで大変だったから、思ったようにできなかったのよと言い出す。
思ったようにできなかった? うん?
「何を言っているの?何が言いたくて(この忙しいのに)電話してきてるの?
結論を先に言って。」
自分は大変苦労していた。だから人に気を配るなんてことはできなかったと。
「え?何か私に謝ろうとかいう話なの?」
どうも私が大学受験が終わって、後輩に参考書や赤本を譲ろうとまとめておき、
「これは人にあげる約束をしている物だから、触らないで。捨てないで。」と言っていたものをわざと捨てたという話をしてきた。
当時、「そんなもの知らない。そんなことも聞いていないから、自分には何の責任もない」と言い張っていた母。
「へー。20年以上も嘘ついて、今謝って許されるとでも思ってるの?
本当に傲慢だよね、あなたは。」
それを伝えてきても、謝らないのだ、それが母だ。
「謝らないのにこんな電話してきて、どういうつもり?
バカなの?嫌がらせなの?
もう二度と顔も見たくないし、会いたくもないんだけど。」
ここまで言っても、謝らない。
自分は大変だったから何を娘にしようと仕方ないという理論を振りかざしてくる。
私をそんな過去のことで怒らせておいて、謝らない。何がしたいのだろう。
「もういい。あなたには人の心がないことは十分これまでで学習している。
謝りもできない人と付き合えない。二度と私に電話してくるな。」
そう言って、電話を切った。
こうして自分を遮断されると激高して何度も何度も電話をかけ続けてくるため、また電話線を抜いた。
そのやり取りを家にいた私の子どもが聞いていて、叱られた。
落ち着いてくれ、あんなきつい言葉は母親に使うべきではないと。
子どもが夫にこの件を伝えて、夫にも叱られた。
後日、実家にいる妹に連絡をして答え合わせ。
いったい何があって、何を母は言いたかったのだろうかと。
実家で母のあまりの態度の悪さに父と妹が困り果てて、離婚して母には出て行ってもらおうという話が進んでいたらしい。
それで急いで私にすり寄ろうとしていたのではないかということだった。
いたって健康、根性だけが腐っているだけだから、どこかに捨ててやりたいと妹も言っていた。
いやいや。謝りもしていないし、謝ったとしてもこれ以外のことがあり過ぎて、母に同情はしないし、引き取ろうとも思わない。
子どもは無条件に母親を許して受け入れるというのは妄想だ。
私が許せるラインは、物心がつくあたりで超えていたから、今から何を言っても無駄なのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます