第4話 洗濯には拘る

料理はからきしダメだからか、なぜか洗濯に執着する母。

そうはいっても、きちんと洗濯表示を理解して、その通りに洗濯してくれるわけではない。


私が大人になるまでは、ずっと二層式の洗濯機を使っていて、洋服と下着と別々に洗っていたようだ。


洋服は当時一般的な粉の洗剤を使い、とんでもなく脱水して干していた。

乾くと大体ぱりぱりしわしわ。

それは許容範囲内。


問題は下着の洗濯であった。

なぜかクレゾールという消毒液が投入されて、すべてが異常に臭かった。

複雑な構造であるブラジャーなんかは特にその匂いがしみ込んでしまい、汗ばむと身に着けている本人がめまいがするほどクレゾールの匂いがした。


おしゃれ着洗いの洗剤で自分で都度都度手洗いして部屋干しするから触らないでと言っても、全く言うことを聞いてもらえずにクレゾール漬けに。

それだけではなく、ネットなどに入れずに手荒に扱うものだから、ワイヤーが外に飛び出てきてすぐダメになってしまう始末。


クリーニングに出すから触らないでと言っておいた学校の制服(ウール)もおしゃれ着洗いの洗剤でもない普通の洗剤で勝手に洗濯機で洗ってしまい、スカートもジャケットも縮んで型崩れさせられたことがある。


私は悪くない。制服は洗えるものなのだ。縮んだなんて知らない、嘘だ。

一言も謝らず、縮んだ制服を復元しようと努力することもせず、事情を知った父にも母は叱責された。


ジャケットは裏地がついていて、その裏地が表面に出てくるくらいにしっかり縮んでいたのに、縮んでいないと言い、洗濯表示を見たのかと聞くと、そんな必要はないと言った。

いやいやなぜ表示がついているのか。


自分が洗ってやったのだから感謝しろ、文句なんか言わせないぞ。

お前たちは自分ばかり正しいというが、絶対に自分(母)が正しい。


精神疾患なのか、自己愛が酷いのか。

どちらもなのか。


縮んだ制服を何とかスチームをかけながらアイロンで伸ばしたり、プリーツが死んだ部分を探ったりしたのは、私。

深夜になっても元通りにはならなかった。


翌日から妙にピタピタでよれよれな制服を着て登校する羽目になった。


そういう制服を娘に着せても平気な人だった。

未だにこの件についても逆切れされる。

中学のセーラー服は家で洗えるものだったけれど、高校の制服は違うからと何度も念押ししてもこれ。

悪意もあったんだろうな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る