最終バス

これはオレが高校生の時の話です。

当時オレ康太は通学時にバスを利用していた。

その日は部活の練習で夜の7時に終わり、着替えを済まして部室を出るとバス停まで向かって歩いていた。

バス停は屋根付きでベンチが1つ置かれた簡易な作りとなっていた。

バスが来るまで数分あるので、ベンチに座ってスマホを取り出して眺めていた。

ふと、隣に人の気配を感じたオレはつい横目でその人を見て驚いてしまった。

その人は白いワンピースに肩まで伸びた髪の女性だが、異様の背が高かったのだ。

バレーボール選手やモデルなんて比じゃない。

測った訳じゃないが、2メートル近くはある。

女性はオレに気づいたのか?

話しかけてくる。

「ねぇ、彼氏になってくれる?」

女性の目は白目をむいていた。

女性は繰り返し、同じ質問をする。

オレは暫く硬直しているとバスが来て停車する。

オレは勢いよくベンチから立ち上がると鞄を持ってバスに乗り込む。

女性はオレを見つめているが、動く気配はない。

オレは適当に席に座ってバスは発車する。

その時、オレはバス停に振り返る。

女性はこちらを見つめたままだ。

あれ以来、オレはできるだけ早く帰るようにしている。

「ふふふっ、今回からの怖い話はどうでしたか?はたしてあの女性は何者で目的はなんだったのでしょう」

稲荷は去っていく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る