第17話 戻ってきた日常
ルキアとの会食を無事に終えた俺はいつもの日常に戻っていた。服も元通りになってちゃんとした魔王様になった。だが、不満が一つある。城が黒一色であるのは構わないのだが、レースまみれなのだ。壁には黒のリボンで作られた飾りが飾られており、額縁も綺麗に可愛くアレンジされている。これついてルキアは触れてこなかったが、何かしら思っていただろう。
俺の女装している黒歴史姿が見られなくて良かったが、この城もどうかと思う。そして1番の問題は自室だ。この飾りを取れば元に戻せるのだが、ミカが俺の部屋だけは辞めてと必死に訴えてきた。だから治せないのだ。
ベッドも家具もフリフリで正直言って使いずらい。流石に筆記用具などは使いずらいからと言ったら許してくれたが、家具は元に戻したいと言いづらかった。俺の部屋は古い家具だったし、結構壊れかけているのも多かったが、飾りつけるのと一緒に直してくれたみたいで、使いやすくなっている。作業効率も上がったし、いい感じ。まぁ、誰も俺の自室に入らないからいいんだけどね。俺の部屋の魔術の解除する魔道具はミカが持っていたらしいい。解除はしないけど、何かあったらよべ、と言われた。ミカにいつでも連絡を取れるように魔力を使って会話をすることのできる魔道具を貰ったのだが、とても便利。日本で言うと電話みたいな感じだ。この魔道具は高価なものなのであらか様につけてますよというふうに見せつけてはいけないらしい。なのに俺は耳に穴を開けられそうになっている。見せつけちゃいけないんじゃなかったの!
形は色々な形があるのに何で俺はインダストリアルピアスなの!日本では一番痛いって有名だったやつじゃない?いたいの嫌ー!
「あの、やっぱりやめません?耳たぶにしません?」
「ファルヴァント様がこれつけたらかっこいいと思うんですよ。しかも、十字架ですよ!」
「俺が苦手なのね」
「ファルヴァント様は悪魔と吸血鬼のハーフなので弱点はない最強の吸血鬼ですよ!」
そんなの知ってます。そして十字架効かないのも実証済みです。
「お母様に会えないじゃないか!」
「ファルヴァント様のお母様の弱点はニンニクだけですよ。その他は生まれた時から聞きません」
は、初耳なんですけど!あの残ってる日記が間違ってことかな?あれは日記じゃなくて本か。日記じゃないなら書いてないか。そもそも日記に自分の弱点綴る奴なんているか?いないな。
結果、あの本は日記ではなかった。
誰かが集めたであろう情報の資料集だった。いや〜あの本はいい勉強になったと思ったら秘匿情報なども含まれていたのか。だから理解しやすいし、深く知ることはできたんだ。後々そう納得した。いや、まぁね。やっぱり覚えるから知識になるんだろうけどさ、自分から覚えようとするのと読むのでは全然違うよね。自分から覚えようとしてもなかなか覚えられなかったりするけど、本で読めば、本の内容を覚えているのと一緒だから覚えやすいのかもしれない。
描いた方が覚えられる、とか読んだ方が覚えられるとか、人によってはキーボードで打つと覚えられるという人もいるのではないだろうか?
俺は「読む」と「打つ」が一番覚えられたかな?この世界では読むで頑張って覚えるぞー!書くは論外、全く頭に入らないんだ。右から左に流れていっているのがよく分かる。
「では空けますね。2回我慢してくださいね〜!」
「じ、自分の耳に開けたらどう?」
「ファル様につけたいんですよ!」
「いや、いや、いや俺は遠慮するって。カッコいいいならミカが付けるといいよ」
「いーや、ファル様につけたいのです!私ならいつでも付け替えられるので」
そう言って耳にかかっていた髪を退ける。穴が空いてるね。いつでも付けられるね。ミカがつけるのが一番だよ。
反論してみるも全く効果がなく、俺は事前に展開されていた拘束魔法に引っかかり、耳にピアスをつけられてしまった。
い、痛い……思ってたより痛くないけど。
「ヒール」
回復魔法で耳の傷を治す。そうするとあっという間にホールが完成。痛くないけど、膿まないけど刺した時は痛い!
「うぅ……」
「終わりましたよ。かっこいいです」
「もうやだ……l
「で、その魔道具の使い方を説明しますね。その十字架に魔力を注ぐと連絡が取れます。やってみてください」
俺は手に魔力を集めて十字架の部分に魔力を送る。すると変な感じがして声を出しても外に声が出なくなったような気がした。
『ミカ、聞こえる?』
『はい、聞こえますよ』
『連絡取れた!』
『そろそろ切りますね。声が出ていないのに話してたらおかしいので』
そう言ってミカはクスリと笑う。
「私たちが連絡を取り合っている間は周りに声が漏れません。周りに漏れたらまずい事をこれで話すことができれば情報の流出を最小限に抑えることができるからです。主人から主人へと手渡しされる場合は問題ありませんが、使用人から使用人への手渡しの場合誰が中の内容を見ているかわかりませんからね。使用人から手渡しの場合主人が何か起きている時が大体ですから、これで連絡するのが手っ取り早いのです」
「確かにね。そういうのには便利だよね」
「では、私はここまでで、お暇させていただきますね!」
「うん、また何かあったらよろしくね。人間界の情報を得る機会があったら教えてくれると助かる」
「はい、何か分かりましたら。私の職場はここら辺なので耳にする数はファルヴァント様とさほど変わらないでしょうけど」
「騎士団の楽しい話でも今度聞かせて貰おうかな?」
「はい、時間がありましたらまた今度お話ししますね」
「楽しみにしているよ」
そう言ってミカは部屋を出ていった。1人寂しく部屋に取り残された俺は訓練の為、服を着替え模擬剣を持って外に出た。
今日は聖属性の耐性がどのくらいついたかを試すと言っていたから剣は使わないと思うけど、一応持っていくことにした。
「ファルヴァント様、遅いです」
「ファルヴァント様はミカ様とお話をなされておりました」
「そうでございましたか」
「ところで何故敬語なのです?」
「ちょっとやってみたかった」
「そうでございますか。もうやらないでくださいね」
と、威圧気味に言われ俺は晴樹の前では敬語を使わないようにしようとアイエティス様に誓った。アイエティス様とは闇の神のことだ。たまにアイエティス様について話すかもしれないから頭の片隅に入れておいてくれ。
「今日は訓練で聖属性の耐性を調べるって言ってたじゃん?あれはどうやって調べるの?」
「それもやるのですが、ファルヴァント様は模擬剣を持ってきて剣術の訓練をやる気満々なようなので剣術の訓練の後に行いましょうか」
「遠慮します」
そう言ったら遠慮しないで剣を握ってくださいね。と、勝手に握らされて、訓練は開始した。じゅ、準備運動してないのですが……と思いつつ俺は晴樹の剣をよく見て受けたりかわしたりする。
剣術の訓練に一区切りつくと属性を調べると言われてまたせい属性の魔力を体内に入れられ、今度は10秒くらいで意識が遠のいて視界は真っ暗になった。
この後目覚めたのは4日後だった。晴樹には上出来だと言われた。今度はクロム以外心配してくれなかった。
晴樹は上出来だ。で、ミカはファルヴァント様は死にませんから。で、その他全員は多分大丈夫でしょう。だった。かなひぃ(悲しい)
俺の生活はこのような日常に戻っていったのだった。
ちなみにこの後晴樹に10回以上気絶させられる未来が待っている。
まだ0歳なのに〜!
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