第16話 計画(ルキア視点)
今日の会談ではファルヴァントという子供を殺そうと考えていたのだが、思っていたよりも面白そうだったから少しだけこいつに従ってみることにした。歴代魔王の中でも少ない唯一の転生者。私が存じ上げないだけで、他の肩が存じ上げているとき言うこともないとは言い切れませんが、魔王直属の部隊を率いることができる私に隠されることはないだろう。
そう信じていた。何もかもがうまく行くと。
調査は自分の配下、特務の者たちだけにやらせるはずだったが、魔王様も動かれた。それは予想外であった為、証拠の隠滅が間に合わなかった。なので、今回の事件に私が関わっている事に勘付いているでしょう。勘付かれただけなら明確な証拠はないからいいのだが、しばらく暴れるのは控えるかファルヴァントを殺した方がいい。あやつは頭が回る。戦闘力でこちらが上回っていても、向こうはその場にあるものの利用が上手いと見た。晴樹に訓練してもらっているからか。元々そう言う性格なのか……元々そう言う性格なら厄介なこと極まりないな。
元の性格を左右するのは簡単なことじゃない。それこそ魔王となれば尚。それにプラス今回は転生者ときた。それだけ精神状態が安定していない限り転生に成功しないし。転生者の候補に選ばれない。人間に有効な精神系の魔法は魔族で言ったら微風が吹いたかな?くらいの認識でしかない。
通りすがりのメイドにかけてみるが、全く気にせず通り過ぎていく。
「精神干渉……」
「……」
この通り実際効果がないのだから精神干渉魔法は使えても魔族には当てにならない。
それよりこんなに頼りない魔法を使ってバレた時の代償がデカい。魔王城に武器を持ち込むことは禁止されているが、それはどうとでも言い訳できる。だが、魔法を使ったのがバレた時はこの世の終わりだろう。魔法は間違って発動すると言うことはないのだ。言い訳が効かない。バレた時は素直に認める他ない。
先程精神干渉の魔法を掛けたのは騎士団長のミカだとは知らずに……
(欠けた相手が悪かったですわね。私が気づかないとでも?しっかりと報告させていただきますね)
そう言う意を込めた表情をしていたとは知らずに自分の考えに浸っていたルキアであった。
まぁ、今の魔法で気づく奴なんていないだろう。すごく柔い魔法だったし、騎士団長レベルでないと魔力を感知することすらできないだろう。(騎士團長だったからばれてるけど……)
殺害するのもいいけど、人間に協力してあいつの母親みた意にするのもいいなぁ。あいつの体は最高だしな。人間がいる手前、手を出すことはできないが、眺めてるだけでもいい……
そろそろ門か。ちょっと悪あがきさせてもらいますね。しばらくあなた様に会えないので約2週間後に発動する炎系の魔法を仕掛けておく。しっかりと魔力も隠蔽して…… 最後まで抜かりなく準備いたしました。帰ってきてからが楽しみですな。
そう考え、ニヤリと不気味な笑みを浮かべた。
先ほど貰ったありえないほどにまとまっている紙を見てからため息をつく。これらの情報を集めるのは簡単だ。騎士団に入ったことがあるという経歴持ちなら尚更。今は家族と仲良く暮らしていることになっていはずだから。いつでも復帰可能だ。金がなくなったら戻ってくると言ってきたからそろそろいい具合だろう。実際全くもってかなは無くなっていないし、魔界でも人間界でも金持ちだ。今魔界にある代物を売れば相当な金になるだろう。
今所持している金目のものは代々受け継いでいるものが殆どだからそう簡単に売れないし、壊せない。
それはそれで不便なのかもしれないが、家具を自分で買う必要がなかったのは助かった。自分の子供をこの座に座らせてもいいけど、有能な人間が俺の後を継ぐのもいい。私の子供は産まれてるかもしれないし、産まれてないかもしれない。一晩限りの女ばかりだったからな……ま、今からでも遅くないだろう。気に入った女の子供をこの座に座らせれば。
自分の子供が次期投手になると政治に間接的に関与することができるし、この先もこの血筋で続くだろう。後者に関しては興味がないが、前者に関しては引退してからも、というとてもこちらに理があることだ。
取り敢えずこの座を降りてからも政治に関われるように準備をしておかねば……最終的には自分が魔王になる方針で考えさせて貰おう。そのためにまずは信用を勝ち取らないとだな。もう信用されていないかもしれなが、今からでも遅くない…そう信じたい。
そんなことを考えながらもちゃんと自分の領地へ向かって飛んでいた為もうそろそろで自領に着く。人間界ではほとんどのものが揃っているから金と武器、魔道具を身につけてそのまま人間界へと繋がる転移門を発動させる。これは魔王寮にも存在するはずだ。東西南北の領主の館と人間界へ繋がる門がある。それぞれに繊細な模様があり、それでどこ行きのもんか見分けることができるらしいが、私には何が違うのか全く分からない。全て同じようにしか見えない。
ま、それを使って人間界へ行き、早速情報を集めるとしよう。これから居酒屋に行って酔っ払った傭兵たちから基本情報を得ようと思う。王宮に行ってから最近の出来事を何にも知らないとなると結構不自然だ。
酒は好きなのであまり飲まないようにするのは大変だが、飲まなくても意外と話は弾むからな。最悪酔いを軽減する魔法でも使っておけば記憶が飛ぶこともない。
この魔法は確か体内にあるアルコール分を分解する魔法だったはずだ。あまり多いと分解できないから大ジョッキ5杯くらい飲んだら一回魔法を掛けるのが最適だと言われている。
そんなに知ったこっちゃありませんが
長い転移門をくぐり抜け、自殺の名所と呼ばれる場所に辿り着く。
「始めますか」
そう声に出して気合いを入れる。
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