第11話 押し付けられた問題児

 俺に押し付けたのは問題児と呼ばれるやんちゃな魔族たちだ。と、言っても、年齢は平均13歳と主審期真っ只中の反抗する反抗期の時期だ。多少やんちゃでもおかしくないだろう。そう、地球なら、ね。ここでは生死が関わる。だから決して油断してはいけないし、隙も見せてはいけない。そんな世界で団体鼓動ができない魔族は邪魔なのだ。


 ただ、周りと一緒に行動するのは能力バレのリスクがある場合など、は特例として集団行動を避けることができる。


「じゃあ、みんな集まってくれない?」


「お前、俺らより年齢下だろ。命令すんな」


「俺たちを見下すな」


「魔王が部下を見下して何が悪いのだ?それに魔王に向かっての態度がなっていないようだが、どのような教育を受けてきたのだ?お前らのようなクズに育つんだから親もまともではないのだろう?」


「ひっ」


 これでちょっとは俺の言うこと聞くようになったかなぁ?これでも聞かなかったら、俺にもお手上げだな。魔王という名前を使ってもヤンチャなのは治りませんでした。って報告するしかないよね。


「早くするんだ」


「は、はい」


「じゃあ、お前らは自分たちで連携をとれ、俺はお前らのことは何も知らない。だから、君たちは君たちで自分たちの力を示すんだ。しばらくこの五人で連んできていたみたいだからお互いがお互いのことを知っているであろう?」


「お、幼馴染っす」


「お互いのことなら何でもわかります」


「そうか、それはよかった。見た感じ君らは相応の力を持っているように感じたからね。今回は五人で頑張って見るといい。場合によってはこれからは五人で行動してもらうことにするかもしれない。その場合には辛い訓練を受けて力をつけて貰うことになると思うが」


「そ、そうですか!今回は全力で頑張ります」


「今回任されているのはボス、大型の魔物三体だ。そのうちの一体を君たちに倒してもらう。俺はもう一体を倒しに行くから助けには入れないが、頑張るんだぞ。倒せたら何か褒美をやる」


「頑張るっす」


 うん、これで頑張ってくれるかな?というか頑張ってくれないと困るんだよね。俺まとめるの上手くない?


(問題児だけな)


 魔力の大きさからしてそろそろだろう。向こうは一旦別れて森の中を散策する部隊と討伐部隊に分けるらしい。そのせいで十分な戦力を得られないため、俺が一体受け持つことになった。向こうが魔物を倒すまで耐えられればいいと言っていた。俺はとりあえず攻撃を与えながら周りに迷惑をかけないように誘導すればいいらしい。


 あの五人は実力的に言えばトップクラスだ。ただ、性格に難があるため、誰も上手く誘導、操れなかったのだろう。魔族でやんちゃなのなんてあまりいないからなぁ。どちらかというと小さい頃から忠誠心が半端ないのが多い気がする。やんちゃっていうか、チャラいっていうか……


 そろそろ自分自身の準備も整えないとだからな。俺はコートを羽織り、剣を持って魔力反応の大きなところに向かって歩く。段々と魔力が空中に集まって紫色の魔力の球が出来ている。それが大型の魔物が出ってくる証拠だ。


 森の中の散策部隊はもう散策を始めているだろう。魔物がどこから湧いてきているのか調べると言っていたなぁ。同じ理由で何度も襲われるのは嫌だもんな。それにしても大型の魔物を操っている裏切り者の魔族がいたらこう言うことにもなるだろうな。これからずっと同じようなことが続くだろう。


 最悪じゃん、魔族と魔物は相性がいからすーぐくっつくんだよね。全く……それを回収する上司の身にもなってよね。と言うのを生まれて3ヶ月の子供が言うことではないな。


 じゃあ、大型の魔物の討伐を開始しますか。


 俺の長らく続いた引きこもり生活に感謝だ。引きこもっていた間はゲームもいっぱいやったからな。あの動きに近づければいいだろう。晴樹との訓練で通用した技もあったからな。


それはほんの一部だけど。


 ある者は無駄な回転する必要がない。ある者にはは隙が多い。などと色々なものに色々なことを言われた。結果俺が使っている前世の戦闘方法はわずが7個だ。他にも記憶を探れば出てくるだろうけど。そんなの試してる暇がない。


 グルルルル……


 魔物が現れた。俺は一番近くにいた魔物に飛びつく。五人も無事に戦闘を開始していた。


 俺の相手になったのは虎みたいな魔物だ。よくあるRPGで出てくるような大きな四足歩行の魔物である。


 動きはそこまで早くないし。やってくる攻撃は今の所前足の攻撃と噛み付くと言うことだけ。これなら俺1人でもじわじわと奴蹴られそうだ。


 俺は晴樹に使うなって言われていた魔力を剣に纏わせる戦闘方法をする。この戦いかたの悪いところが見つからないから使っても大丈夫だろうという俺の勝手な判断だ。


 攻撃の隙ができるタイミングを見計らい、魔物へ攻撃を仕掛ける。まずは目を潰したいが、最初から顔を狙うのは危険だろう。だから攻撃してきた前足と反対の前足に剣を向けた。皮膚はあまり固くなかったので切ることができた。それに魔力を纏わせたことにより。傷が深くなっている。これはいいな。


 攻撃をしたらすぐに姿をくらます。あまり魔物の近くに居座ることは良しとされない行為だしな。魔物にちょこまかと攻撃を仕掛けていくと段々と効きが悪くなってきた。魔力の攻撃に馴れ始めているのだろう。避けられることもしばしばだ。


 そろそろ大技使うか。これは異世界。いわゆる前世の記憶から持ってきた技なのでめちゃくちゃかっこいい!ま、俺好みってとこかな?属性はもちろん闇。剣に闇の魔力を宿わせて戦うのはさっきみしていたことだが、今度のは違う。魔力を剣に貯めてそれを一気に放出すると言う技だ。


 俺は剣に魔力をこめて溜めを作る。溜めたら一気に放出。それは魔石のある場所に向けて。


 魔石は一気にたくさんの魔力を与えることで魔力の保存量が多くなる。その性質を利用して魔物の体内で魔石の拡張を行おうと思ったのだ。魔族でも魔石、核拡張とか言って、核を拡張しているものもいる。それはとても痛いと聞いたことがある。魔石拡張のおかげで総魔力数が上がったから強くなる。と言う事もあるが、痛いのはもっとらしい。痛いのと代償にいいことがあるが、いいことのほうが断然割合が少ないそうだ。確かにそうだよね。人間で言えば無理やり内臓を大きくしたような感じだ。無理やり大きくすると体が痛いでしょ?それと一緒。


 あと、成長痛ってあるでしょ?あんな感じ。あれのもっと痛い版みたいな感じ?


 イメージ湧いたかな?


 俺の放った魔力が魔石にあたっているのだろう。魔力の抵抗が感じられる。おっきい魔石だからだろうな。なかなか侵食できない。


 その後数十秒後に魔力の押し合いは終わり、俺の魔力が勝利した。無事に倒すことができてよかったのだけど、周りがフリーズしてしまっていた。


 確かに魔力をいっぱい使ったから疲れたけど、耐えられない程じゃないから大丈夫なのに……


 五人も後はもうひと頑張りって感じだろうか?魔物はもう弱ってきているから動きが鈍くなっている。


 と、いうか。あの五人の連携すげ〜!何であんなにタイミング揃うんだ?まぁ、お互いがお互いをよく知ってるからできることなんだろうね。


 これはこの五人での部隊を結成しないとかな?


 そんな呑気なことを考えつつ戦闘している様子を眺めていた。

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