第10話 事件発生

 いつものように同じ日々を過ごしていた時、俺宛に一通に手紙と事件が届いた。


 最近量の増している婚約の申込みの手紙。魔族は手紙をて私なんてしない。魔法の得意な魔族からしたらそれはものすごい手間だからだ。ただし、大切な書類や手渡ししなくてはならないレベルの案件は別だ。それだけ大ごとにまで発展したものは魔族の手により確実に渡される。それも手紙を書いた本人が私に行くっため、手紙の入れ違いなどはないから信用できる。


 呑気にそんなことを考えていた時。書斎のドアが強くたたかれた。一体なんのようだ?


「ファルヴァント様!至急戦闘準備を!北の森より魔物の群れを確認!直ちに行動を開始せよ!とのことです。お早めに準備を」


「わかった」


 そう言っていつもの簡素な服ではなく、戦闘の時専用に作られたロングコートなどを着ていく。


 生地が厚いズボンに上はベルトの多い厚手のもの。その上からロングコートを羽織り。真ん中のベルトで前をしめる。靴は皮でできている厚底のものを。


「準備できたぞ」


「お待ちしておりました。晴樹からはもう戦闘ができるくらいには成長しているから自由に動かせていいと言われています。くれぐれも死なないようにお願いします」


「そう簡単にしにはしないよ。いや、まだ死ねないね」


 そう言って剣を受け取り、城を出る。今回は晴樹もクロムもお留守番らしい。白の警戒が薄れるから俺だけ出ることになった。


 晴樹に教えてもらった「飛翔」という魔法で空を飛んで北領地まで行く。これは案外便利な魔法で、俺は意外と好きな魔法だ。魔力を燃料としたロケット。みたいなイメージだ。


 スピードは燃料。要するに魔力量で決まるから遅くすることも早くすることもできる。


 あの混んでいる道路を通らなくていい。そしてガソリン代もかからないというメリットがある。


 なるべく早く北の領地に向かった。北の領地、レーグロールと言う領地ではもう既に戦闘が始まっていた。


 魔物は小型、中型、大型。といったように分けられている。小型は一人で倒せるくらい。中型はできれば三人欲しい。大型は十人以上欲しい。といった感じだろうか?これは魔族基準だから人間基準にするともっと人数が多いと思う。そして1000年に一度現れると言う噂のある超大型というのもいるらしいが、俺には関係ないだろう。


 今回の魔物の群れは1000体ほどと予測が出ている。その中で中型は30体くらいだろうか?大型がいなかっただけ良かったのかもしれない。


 森からどんどん出てくる魔物は俺たちに向かって勢いよく飛び掛かってくる。小型というのはあまり頭が良くないから飛び掛かることくらいしかしない。中型は頭を使うようになるから、武器、木を削った棍棒みたいなのを持っていたり、罠を使ってきたり、後は魔法を使う。とか、根本的な強さも強くなる。そして大型は人間や魔族のような繊細な頭脳を持ち、魔族よりも戦闘能力が高い。


「お待ちしておりましたファルヴァント様、私はこの領地を収めているルキアです」


「ルキア、俺は何をすれば良い?向こうで戦場というものを知ってこいと言われているだけで何も知らない。それと今は無礼講で構わぬ。早く話せ」


「了解しました。状況的に言えば我々の方が良い。そして戦力的にもこちらは万全。そして向こうはラスボスがいない。これで終了だ。後はこのまま突っ込むだけだ。この戦場のルールは死なないこと。深さ2センチいじょうのきずができtいじょうの傷ができたらこっちで治癒するから戻ってくること。だ。好きに闘うといい」


「わかった。では、自由に暴れてくるとしよう」


 俺はそう言って戦場へ足を向けた。


 そこは誰も大怪我をしている様子はない場所で驚いた。流れているのは魔物の血のみ、魔族の血の匂いはしない。


 俺は人が少なそうなところに行き。剣を振る。俺がいることに気がついていなかった魔物はモロに攻撃を食らって倒れている。魔物が死んだら残るのは魔石だけ。俺は魔石を器用に回収しながら戦っていく。魔物の警戒の度合いが他の魔族から段々と俺に向いてきている。これなら他の魔族も戦いやすいだろう。


 魔物は森の奥からどんどんでてきているが、このレーグロールの森はそこまで大きくなかったはずだ。こんなに大量の魔物が住んでいたとは考えずらい。そして魔物を支配しようとするが、支配することができない。魔王が支配できないのは誰かの契約済みの魔物、主人のいる魔物だったはずだ。


 と言うことは魔族か魔物の主人がいる魔物たちと言うことになるが、魔族ではこの寮の魔物との契約は不可能だ。結果的に魔物の主人がいると言うことになる。


 これはまずいのでは?俺の部下に手を出すな〜!みたいな感じで出てきたりしない?それはないとしてもこれはラスボスがいないんじゃなくて、まだ見つかってないってだけになる。早く知らせないと……


「ルキア、俺の魔物支配が使えない。君は領主だから知っているだろう?魔王の特権について」


「もちろん存じておりますよ。それにしても魔物支配が使えない。ですか、早めにわかってよかったです。ありがとうございます。ではこちらでなんとか対策を練るのでそれまでに魔物の数を減らしておいてください。ボス線で雑魚の数が少ないことほどいいことはありませんよ」


「そうか。では頼んだ。俺はもう少し様子を見つつ情報を探す」


 そう言って戦場に戻り、俺は知りたいことを全て試した。おかげで色々な情報を手に入れることができた。だけど、それはこっちが絶句するような内容ばかりだからあまり嬉しくなかった。それに、魔力とかばっかり探ってたから疲れてしまった。もうなるべく魔力を使いたくないな。


 なぜなら強制睡眠に入れされるかもしれないから。強制睡眠とは魔法を使ったことによって疲れすぎた心を癒すための強制的な睡眠。これはとても良くないと思った。命の危険があっても、戦わないと死ぬ時だってあるだろうに。そんな時に精神が崩壊しました!って言って睡眠に入ったら確実に死ぬよ?


 俺そんな死に方嫌だよ?


 そんなことを思いつつ作戦会議に参加している。今決まっているのはボスが出次第全勢力で挑むらしい。その前に一度睡眠や食事をさせるため、一人一人の休息時間をつくらないと。斗言う話になっている。正直言って、何にも会話は進んでいない。


 そんな退屈な作戦会議で俺はずっと黙っているのがきつかった。そして明日は魔物との戦闘だから体を癒しておくようにとのことだ。


 俺は体ではなく、精神が崩壊しそうなだけだけどね。こんなとき、俺がサイトだったら腕が血まみれだっただろうな。そう、リスカで。


 もう前世の話はやめようか。俺は後ろめたいことしかない過去だしな。


「そろそろ魔力反応が掴めるか?」


「会議の最中から魔力は掴めていました。今更?ですよ。早く準備しなければ間に合わなくなるぞ!」


「では、こいつらを頼んだ」


 そう言って問題児を押し付けられた。最悪だ。俺には部下は1人で、それ以上は必要ない。


 ま、なんだかんだきつかったけど、俺頑張ったよ!

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