第5話 日常 上
俺はなかなか魔王としての任務をはたすことができない。という評価をされてしまった。要するに上層部の人間に嫌われたということ。いくらお母様の実子であろうとも魔王の座についている俺は邪魔でしかない。本来自分が継ぐことができるはずだったのにと考えると悔しくて仕方がないのだろう。おかげで毎日のように暗殺者が送られてくる。それも人間だ。腕の良い人間を雇っては俺に仕向けてくる。人間に勝てないほど未熟ではないのだ。このくらいで倒れたりせぬ。と周りに入っておきながらお腹に大きな傷を負っている。これはクロムも知らないこと魔王たるものいかなる時も弱みを見せてはならぬってね。
この傷は寝込みを襲われた結果だ。俺の部屋は防音結界が施されていると前にも話したはずだ。あれ、あれのおかげで襲われても分からない。そしてタチが悪いのはこの城の中に暗殺者を仕向けている奴がいること。俺の部屋の場所を正確に知っているのはこの城に支えている一部の人間だけ。要するに上部の人間が俺に暗殺者を仕向けているのだ。それも詳細な地図を持っている人物。
そしてこの城の仕組みを知っている人物……この城はお父様が作った時と変わっていない。今の俺が城を作り替えるのは無理があるし、っていうことで作り替えは延期になった。魔王でもまだまだ力不足ってことよ。
そして今問題になっているのが、勇者たちの動きが活発になってきたこと。どうしよう。魔王がいないからって魔族を始末しにきたら最後だよね。それに、俺はそんなに強くないし……(すごく強いです)
魔族の中でもトップクラスです。
ああ、どうしよう。勇者倒さなくてもせめて追い返したいよね。罠でも張ってみる?落とし穴とか。
勇者にそんなの通用するかな?しないだろうな。う〜ん。他にいい策はないかなぁ。
でも、人間界と通じている不届きものがいるのならばそいつを見つけ出せば解決する話なんだよね。暗殺者を仕向けられているという状況ではろくに休めたもんじゃない。今は誰がどんな悪事を働いているかなんて把握は不可能。クロムだけは信用に至る人物だ。
課題は魔法を使えるようにすること、魔法は体の魔力を感じれば魔法を使えるらしいんだけどまだ魔力を感じることができない。たまに感じられて魔法が成功することもあるけどほとんどない。1週間にあるかないかくらい。
クロムには魔法の練習は精神が削られるからあまりやるなと言われているけれど、俺はそんなにのんびり成長してられないと思っている。なんせここは異世界、あのファンタジー小説のように特別大きなイベントが発生してもいい筈。例えば勇者の来訪とか?
ファンタジー小説なら勇者に転生して鍛錬して魔王討伐!みたいな感じだから次の日から剣とか魔法の練習始めるんだよね。俺の書いていた小説はみんなそうだったな。
まあ、転生してまだ1週間と言ったところだから遅れを取ったってほどでもないだろう。
この世界の魔法はそう易々と打てるものではない。攻撃系の魔法は特にだ。
薪に火をつける。あたりを照らす。簡単な魔法を使う分には多少疲労感があるがそんな疲れることはないらしいんだけど。それも長時間ずっととかなると大魔法を放った時遠野じような疲労感に襲われるらしい。魔法の厄介なところは魔法を行使している最中は疲労を全く感じないというところ。全く疲労を感じないとなると自分がどれくらいの魔法を放ててどれくらい維持できるのかが分からない。
それで限界を超えて倒れる人が結構いるらしい。
俺もその中の一人になりそうで怖いんだけど。それで倒れたのクロムが知ったら俺はずっと誰かに見張られないといけなくちゃになっちゃうよ。
それはご遠慮いただきたいところだな。
魔法を使うと精神が削られるのは本当だ。俺も魔法を使った後など体が重くなる。手足に鉛をつけているようだからな。
それがもっとひどくなると風邪をひいて全く動けない時みたいになる。俺はここまでしかなったことないからこの後どうなるかはちょっと想像できないかな?
魔法は下級魔法、中級魔法、上級魔法に分けられていて魔王しか使えない魔法は固有魔法となるらしい。要するに個人でしか使えない魔法。他の人が習得不可能なものといったらわかりやすいだろうか?
俺も元日本人。あれだけネットやテレビ、小説などに溺れていた人間がいきなり努力白と言われてもそうできるとことではないのだが、今はお母様に会ってみたいという感情と人間を支配してみたいという感情のおかげでどうにかこの苦痛に耐えている。
魔物は最近排除しているからか数が減ってきたそのおかげで使わなくていい魔力が増えて白に注げる魔力量が増えたんだよね。と、いうことは城が頑丈になった!やった〜!これで被害が少なくなる⁉︎
ということで魔術の訓練再開しようかな?疲れたから休んでたんだけどそろそろ回復したかな?
魔力を使ってたからまだ精神の疲れがどのくらいあるかわからないんだよね。魔法を使用した後にどれだけ疲れてるか自分でも見当つかないよ。
魔力を感じるというのは簡単なことじゃなかった。すごく難しかった。
日本の小説みたいに簡単に魔法なんて使えないんだよ〜
魔法って使える人がほとんどいないから重宝されるらしいよ。子供に責任を押し付けているのが人間だということも教えられた。
元人間の俺からするとちょっと共感しずらい。だって前世の種族をダメダメと言われているようなもんだもん。誰だってそうなると思うよ?
「ファル様、夕食の準備ができましたよ。部屋から出て来てください」
そう、俺の名前ファルヴァントでしょ?長くて呼びずらいからファルになったの。あだ名だよ?でも、なんかしっくりくる。
うふふ。やっぱりあだ名で呼ばれるのはいいねぇ。じゃなくて早く出ないと
「できた?」
そういって顔を扉から出す。
「できましたよ」
今日の夕食のメニューはハンバーグらしい。やったね。豆腐は毎食出てくるよ?なんか知らないけど。
「いただきます」
「うん、クロムのご飯は美味しいね。他の人に作ってもらったご飯は食べたことないけど」
「そうれはよかったです」
「そういや、俺のこと殺したい魔族って検討つく?」
「いっぱいいすぎてわからないですね。後で資料にまとめますね」
「条件はこの城に支えているもの、なおかつお父様やお母様がいる時代からいる人間」
「わかりました」
食事中も仕事の内容や魔法について話すことが多い。そんな会話をしてさっさと寝た。誰も来ないことを祈って。
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