悪い朝だね
体を折り曲げて泣いている僕。は、僕。じゃ、ない。巨人に握り潰された臓器は液体となって僕の脳を侵略する。僕は、僕じゃ、ない。古い詩集はいつまでもいつまでも傷を擦り続けるだろう。ココアは泥になり、美しい物語は羽虫となって散り散り。ラジオからは途切れ途切れに君の声が聞こえてきた。あの頃のように真っ直ぐ受け取れず「殺人的だ」と呟いた車の中。全てのものが疎ましかった。僕が僕ではなくなってしまったからだろうか。消せば消すほどに強くなる筆跡の呪い。無意味であることが何よりも重要だった。強迫観念。僕は僕じゃないから新しい空気は一瞬で澱む。折れたシャー芯と破れたページを弄んだ。捨てることも出来ずに。
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