金曜日の甘い埋葬

 帰宅後はすぐに、チョコレートケーキに身を沈める。頭のてっぺんまで潜り込んだら、まとわりついていた悪霊が断末魔をあげ、私は軽やかな呼吸を取り戻す。鬱陶しいことこの上ない御局様でした。


 マグカップの底に佇む檸檬の優雅。細い首にある無数の手の痕は勲章です。凪いだ紅茶は、ボロボロになった私の埋葬準備に取り掛かる。


 さぁ、ドーナツの穴をのぞきこんで。今宵の宴へご招待。皆を一斉に祓ったら、天井からぽこぽこ、マカロンがふるふる、からふる、ぱわふる、びゅーてぃふる! 


 ねぇ脱力して。身を任せてね。死にたいと打ち込んだスマホはいつも、相談ダイヤルをご案内。そういうことじゃないのん、と私、自己親密行動に明け暮れた。


 オイルでくるくる瞼を優しく撫でたらズルズルと私は私へ還る。鏡の前でマシュマロを発砲。あぁ、デトックス。明日はつやつやの肌した私が落ちてくるだろう。

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