出版社に出してみたら予想外のことを言われ、大切な長編小説を全消しするほど粉砕した話

 さて、この回では。

 出版社に出してみたら予想外のことを言われ、大切な長編小説を全消しするほど粉砕した話をします。




 私は出版社に送るとき、こんな希望を持っていました。


『感想がほしい』


 感想はなくても、『ここをこうすればもっと良くなる』というような具体的なアドバイスをもらえるのではないかと思っていました。


 もしくは、酷評されるにしても、『このキャラがよかった』とか、『このシーンはよかった』の一言くらい『よかった点』を言ってもらえるんじゃないかと思っていたのです。




 では、何と言われたのか。


 言われた文章は引用許可を取っていないので、記憶だけでざっくりとした内容を書きます。


「たくさんの短編小説を書いてください」


 それだけでした。


 ええ、本当に一言も、一文字も、六十万文字ほどの長編小説に関する感想やアドバイスはありませんでした。




 どうしたらいいのか、まったくわからなくなった私は『この長編小説をなかったことにする』ことをそのときは選びました。


 複数の小説サイトに投稿していたのですが、長編小説だけ全部サイト消しました。

 投稿していたイラストサイトのイラストは非表示にしました。




 私に残された提案はひとつ。


「たくさんの短編小説を書いてください」


 わかりました。

 言われた通り、短編小説をたくさん書きましょうと切り替えました。


 小説の文字数の定義を調べました。

 小説サイトの公式企画や、個人企画などに参加し、色々と書きました。

 何なら、短編集も書き、色んなジャンルを書きました。


 書くだけに留まらず、たくさんのネット小説を読みました。

 読んだ小説を紹介しました。

 スコッパーをしました。

 レビューを果敢に挑戦しました。




 答えは、わかりません。


 ですが、きっと『延々と書いている』と思われたんだと解釈しました。

『短い文字数で構成を意識して書けるようになりなさい』と言われたんだと解釈しました。


 長編を書いても十万文字以内に収まる話にしようと、書き始める前に文字数の見通しを立てられるようになりました。




 私は、もう長編小説を掘り起こす気は、さらさらありませんでした。




 けれど、三年後。

 そんな私に更に追い打ちがかかります。


 その追い打ちは、私にとってはとてもひどい、残酷なものでした。


 私が『なかったことにする』と決めたから、起きてしまったことです。

 だからこそ、私はもう一度、今度はきちんと長編小説を完結させようと向かい合うことにしました。


 長編小説の登場人物たちを『存在しなかった』ことにしないために。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る