第11話 新スキルを試す
ダンジョンの中は情報通り草原のような場所だった。
そしてやはりF級とは比べ物にならない程広い。
これなら全モンスターを倒すとなれば相当骨が折れるだろう。
「やってみたい気持ちもあるけど……梨花を怒らせたくはないしな」
俺は早速モンスターを探す。
草原ということと気配感知の範囲が一〇〇mから三〇〇m程まで広がったお陰ですぐに見つかった。
俺はどうせ隠れる所もないので、《変幻自在》を槍の形に変えて構えながら近付いていく。
何時もなら棒を使うのだが、前回の戦いで棒ではキツイと判断したためこれを機に武器も変えてみることにした。
剣にしようか迷ったが、槍のほうがどちらかと言うと棒との扱いに似ている気がしたのが決め手だ。
近付いていくとどんなモンスターかも分かってきた。
「ゴブリンか」
俺の宿敵の様で恩人の様なモンスターだ。
コイツラのせいで命の危機に陥ったが、その代わりにこの力を手に入れて梨花に楽な生活を送らせることが出来る様になった。
正しく新しい力を試すいい相手だろう。
その前に……
「はっ!!」
「グギャ!?」
俺は絶対に折れないのを良いことに槍の刃の方向など気にせずに棒と同じ様に殴ってゴブリンの頭をかち割る。
すると俺の予想通り半透明な表示が現れた。
《【槍術】の入手条件は、槍でモンスター一五体倒すことです。残り一四体》
何故か棒術よりも倒さないといけないモンスターの数が多い。
もしかしたらスキルのランクが棒術よりも高いのかもしれない。
確かに棒術と槍術どちらを取るかと言われると、殆どの人が槍術を選ぶだろうし妥当なところか。
「まぁいいや。早速手に入るまでひたすら狩りだ」
俺は近くに居たゴブリンへと突撃した。
***
――約一時間後――
「これで……一五体目っ」
《【槍術】の入手条件を達成しました。【槍術】を入手しました》
《レベルアップしました》
俺は最後のゴブリンにトドメを刺し、その表示を確認した後ステータスを開く。
—————————————
八神響也 17歳
Level:20(+1)
《ステータス》
体力:580/580(+20)
魔力:1290/1290(+10)
攻撃力:130(+5)
防御力:90(+3)
敏捷力:150(+6)
精神力:180(+7)
《固有スキル》
【異世界の記憶Level:2(EX)】
《特殊スキル》
【守護者Level:2(A)】【時空魔法Level:1(S)】
【魔力親和Level:1(SS)】
《スキル》
【身体強化Level:3(D)】
【雑用Level:2(E)】【精神耐性Level:3(B)】
【気配感知Level:3(B)】【槍術Level:1(C)】
【棒術Level:4(D)】
—————————————
よし。しっかり習得しているな。
それに入手条件が棒術よりも難しかったのはランクのせいかもしれない。
でも、やっぱりゴブリン程度じゃこれだけ倒してやっとレベル一アップか……まぁレベル差があるからしょうがないと言えばしょうがないんだが……。
やっぱり弱いモンスターを倒すだけでレベルが上ってくれて方が有り難いよな……危険も少ないし。
まぁ泣き言言ってもどうしようもないので、早速槍術を試してみることにした。
俺は試しに槍を何度か振るってみるが、相変わらずスキルの力を凄まじく、既に様になっている。
だが使い方によっては棒の様に出来ず、ぎこちなくなるのはレベルの差だと思いたい。
俺の才能の良し悪しでない事を祈る。
ついでに時空魔法もやってみるか。
時空魔法はまだレベル一のため二つしか使えない。
《
効果は名前の通り、時間の流れを変えて移動速度を速くさせたり遅くさせたりすると言う単純な能力だ。
まぁ時間の流れを変えると言うのが複雑すぎて何が単純なんだって話だけど。
だがまぁ兎に角、近接戦闘が主な俺にとっては大変有能なスキルである。
使い方は簡単。
使いたい方の魔法名を唱えるだけ。
後は勝手にやってくれるらしい。
「《
俺がそう唱えるも、自身の体に特に変化はない。
まぁ身体強化とは違ってただ俺の時間を速くしているだけなので体の変化はないのは至極当たり前のことだ。
試しに先程と同じ要領で槍を何度か振るってみると……
「おお! 確かにめっちゃ速くなってる!」
先程とは明らかに速度に変化があった。
確実に二倍以上の速度は出ているはずだ。
俺は少しテンションが上って魔力のことなど忘れて永遠と動いていた。
そのため、
「……つ、疲れた……」
体力と魔力を大分消費してしまった。
魔力なんて一二九〇もあるのに、今残っているのはたったの五〇〇ほどだ。
思わぬ消費に何時間か休まざるを得ない状態となってしまった。
今度からは少し興奮を押さえる努力をしようと思う。
「よし、次はもう一つの方を試してみよう。《
やはり使ってみても動かなければ全く分からない様だ。
俺は先程と同じく槍を振るってみると、
「!? ……これ程までにゆっくりになるのか……」
遅過ぎた時に蚊が止まるとよく言うが、正しくそれを体現したかの様な遅さだった。
一秒にやっと五cm進む……と言った程度。
これはもしかしたら《
《
だが不測の攻撃への回避には《
俺はそれから槍の鍛錬も兼ねてモンスターを探し始めた。
——————————————————————————
☆とフォローしてくださると嬉しいです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます