第8話リーファ排除計画①
その後、ガータリオンがユーゴとリュカを呼び出した。ユーゴは目の下にクマがあり、よく見ると手首にムチの跡があった。大してリュカはさっき泣いていたのはなんだったのかレベルで元気そうだった。目の下は少し赤くなっており、頬はピンクに色づいていた。
「ユーゴ、リュカをこかしたのはわざとなのか?」
ガータリオンはあの氷みたいなひえひえした顔を取り戻しており、ユーゴを叱るように質問するさまは確かに威厳があった。
(やっべぇ。これで逆にリュカがわざとですなんて言われたr)
「逆にリュカがわざとです。僕が外に出た瞬間突っ込んできました。」
(……)
「そうなのか?リュカ…?」
「俺はわざとじゃない!確かに前を見ていなかったのは謝るよ。でもクッキーが割れたのはユーゴのせいじゃないか!」
(やべやべやべ。なんなら笑ってたとかいわれそ「リュカは笑っていました!」
(……)
『お主ら、やはり兄弟じゃな』
リュカは笑いそうになってしまい言い訳を考えるところではなかった。ので勢いに任せることにした。
「リュカ。。?」
「笑ってなどいません!おい!ユーゴ、嘘をつくのをやめろ!俺のことが嫌いなんだろ!?」
「リュカ、なんでそんなにきつい言葉を使うんだ。」
リュカは焦りまくり、盛大に冷や汗を噴いていた。が、以外にもガータリオンから見たリュカたちは、ユーゴが不貞腐れて嘘をつき、それに対してリュカが癇癪を起こしている子供の喧嘩に見えていた。
ユーゴはガータリオンに自分のことを信用されていないかのようで虚しくなった。唇をかみ、悔しそうにしながら下を見て俯いている。目には大粒の涙が今すぐ決壊しそうなほど目の縁で揺れていた。
リュカはその様子を見て心の底から喜んでいた。
(ざまぁ!)
『……可哀想になってきたわい。儂ユーゴに味方しよかな』
(おい、やめろ!)
(でも、ユーゴはリーファを排除したあとも関係が続くだろうし飴と鞭で飽和するか。)
リュカはリーファ排除計画にユーゴも加担させようと企んでいた。ユーゴは少なからずリーファを恨んでいるはずだ。親にむち打ちされて嬉しいやつなんて頭のおかしい奴だけだ。リュカの後頭部には大きなブーメランがぶっ刺さっていた。
「……とにかく、2人とも誤解されるようなことはしない、すぐ怒らない、ちゃんと覚えておけ」
「「はい。」」
ガータリオンの書室の扉が音を立てて閉じると、ユーゴが歩き出した。どうやらテラスの方に行くようだ。リュカは自室の反対側にあるテラスへユーゴを追いかけて行った。
「どうしたんだいリュカ?」
(ここはお悩み相談の名目でリーファへの反感を煽ろう)
「……お前は嫌な奴だけどさ、その手首、一体どうしたんだ?」
リュカがそういうとユーゴは顔を顰めて袖を少し下に伸ばした。ユーゴがあからさまに嫌な顔をしたのを確認すると、リュカは無理やり手首を掴んで袖をまくった。ぐいっと顔を近ずけてまるで長年の親友のように語りかける
「うわっ!や、やめてよリュカ」
「おい、これ……誰にやられたんだよ……!」
「関係ないだろ!」
「俺が言っといてやるから!なんでお前は嫌味なやつなのに優しいんだ……!」
(恐らくこれが正解なはずだ。)
リュカは目を細めてユーゴに尊敬するような態度をとった。同情するような態度ではユーゴは嫌な気持ちになるだろうと思ったからだ。対してユーゴはリュカのその綺麗な顔をいきなり近ずけられたため思考が停止していた。
こいつはただの子どもだと思う他にユーゴはリュカに向けて憎しみや嫉妬を向けていたが、歳をとる事にユーゴはより一層の賢くなり、リーファに操られていることを自覚してきていたのだ。
「……テラスで話そうぜ」
「い、いや、僕は帰っ」
リュカは無理矢理ユーゴの腕を掴んだ手を引っ張りテラスへ向かった。
「なあ、どうしてそこまでリーファに従うんだ。」
「な、なんでこの傷を母様がつけたものだって、しってるんだい……?」
(あ、やべまたヘマやらかした)
「い、いや、リーファの部屋に行く前は跡なんてなかったから」
「ふーん。と、というより、なんで母様のこと呼び捨てにしてるんだい」
(……おっと、気付かぬうちにガワが剥がれていたようだ)
「そりゃ、ウザイやつだからだろ」
「……で、リュカは何するつもりなんだい?」
「お父様に話してリーファを出ていかせようぜ」
この言葉を聞いて、ユーゴは、やはりリュカは子供だなと改めて感じた。リュカには悪いが考えが浅すぎるのだ。しかし、実際のリュカの腹のうちは真っ黒だった。ユーゴよ、貴様はその年にしては天才だった。だがしかし、リュカは残念ながら凡庸では無いのだ。
「とにかく、俺とユーゴでリーファが悪いことしてるってことを父様に伝えようぜ!」
「そう、上手くは行かないさ……」
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読んでくださりありがとうございます!少し短くなってしまいました。
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