第26話

「ありがとうございます。あ、長山さん。俺…本気でスタイリストになりたいんですけど、本当に、なれ、ますか…?」


いやだめだこんなこと!疑ってるみたいだよ!


「なれる。そう思ってたらなれるはず」


「…ありがとう、ございます。俺、嬉しいです。長山さんの、アシスタントして、本当によかったです」


「そう思ってもらえて、よかったよ」


白河さんは、長山さんのことよく知らないんだ。長山さんは、優しいんだけど…あんな嫌悪しなくていいのに。


「雪から聞いたんですけど…長山さんの甥っ子さんのカメラマンさん?って…ちょっと頼りないんですか?」


「あぁ、そうなんだ。自己管理が苦手でね」


「そう、なんですね…」


本当かどうかははっきりしないなぁ。


「美月くん!ねー!さっき宣言したって?」


あ、田中さんがメイク室から出てきた。廊下に聞き耳たててんのかな?


「あ、いや、宣言?」


「おめでとう!よかったね」


祝福!嬉しい〜


「餅月も聞いてたかもよ?いいの?」


それでどうしろと?


「ちゃんと振った方が良くない?」


「いや、俺別になにも言われてませんから…」


「美月くん、君はそんなこと気にせず、目標に向かった方がいいだろう」


長山さんは、田中さんの意見は聞かない。

俺も聞かない。ということで、田中さんは不満そうな顔になった。


「私、どーなっても知らないからね」


田中さんはちょっと怒って去っていった。


「社長は突然やってくるから、覚悟しておいた方がいいだろう」


「は、はい!」


そうか、社長は突然が好きな人だった。

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