第25話

「雪、言えてよかった」


「あんた、なに張り切ってんのよ」


「美月くん。君は勉強熱心で、しっかり者だからきっと、スタイリストになれるはずだ」


長山さんに、言われた。そんなこと、言われたことなくて嬉しかった。


「ありがとうございます、長山さん」


「さぁ、撮影を再開しよう」


再び元の仕事に戻る。

が、休憩に入るとき、廊下で捕まる。

すごい力で腕を握られた。


「美月くん、さっき聞いたけど、雪さんにどうやって取り入ったわけ?」


うわ、俺より小さいカメラマンの小暮こぐれさんに捕まってしまっていた。


「違うんです、普通に…」


「いや君はただの雑用だろ?どういうこと?」


助けてー!壁に縫い止められそう!


「小暮くん、やめたまえ」


「は?長山さんなんなんですか。美月くんのこと、おかしくないですか?雑用だし」


長山さんに対する態度が悪い小暮さん。長山さんは小暮さんよりも小さいしそう見えるのかな。


「小暮くん、美月くんは優秀なスタッフだ。おかしいことなどない。小暮くん、なにがそんなに不満だと?」


「いや、雪さんはモデルで、美月くんは雑用ですよね?どーやって仲良くなんの?って話」


「小暮くん、君は羨ましいということで、間違い無いかい?」


「は?なんなんすかそれ!」


さっと小暮さんは逃げ出した。

そういえば、嫁に逃げられた?連絡とれない?とか聞いたことあるけど。それで?


「美月くん、気にしなくていい」


長山さんは、小暮さんに対して冷静なんだなぁ。

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