第19話

「…私、雪さんいないと寂しいです。辞めないで下さい。ほら、美月くんも!」


「え、あのー、雪は、ゴーヤ農家やりたいんで、止めたくないです」


「美月くん、それは別れるということ?」


「さおちゃん、雄輔とは結婚するつもり」


雪は至って冷静。


「…え!?美月くん羨ましい…でも!私はこっちで知り合いいなくなるんです!困ります!」


白河さんは前のめりで、机をひっくり返してしまいそうな勢い。雪と対面してるから、感情的。俺は間にいるのだが…どうしたものか。


「さおちゃんも結婚したら?」


!?


「なにを!準也に迷惑かけるとかまっぴらごめんです!」


つまり?


「え、弟さんじゃないの?」


「さおちゃんの彼氏よ」


「え、なんと、まぁ。それは、知らなかった…です。てっきり、長山さんかと」


「はー?ぜーったいない!もー美月くんひどい!私の雪さんと沖縄に住もうってわけでしょ?」


すげー怒られたし。私の雪さん?


「え、まぁ、そうです…」


「美月くんより私のほうがかわいいですよね?雪さん!私と美月くんのどっちがいいんですか?」


白河さんは、なんだか子供っぽい。事務所では結構クールなのに。


「さおちゃん、私にとって雄輔が癒しだから。だから、私のことは関係なく、さおちゃんにはモデル続けて欲しい。かわいいさおちゃんをずっと見てたいから」


雪…俺は癒し?わー嬉しいー


「雪さーん!」


白河さんは立ち上がって雪のところに移動した。わー、白河さんが雪にハグするのかー

不思議ー。さばさばとしてるかなー?と勝手に思ってたから。


「美月くん、なにぼーっとしてるの。雪さんをもらっちゃうよ?」


白河さんは、雪にしがみつきながらしゃべる。


「え、いやだめ!雪は俺のなのー!返して〜」


なんとか白河さんを跳ね除けて、雪に抱きつこうとしてみた。


「こら、なんの争いよ」


結局雪に頭叩かれた。白河さんが言ったのにー

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