雪と過ごす毎日

第9話

「美月くん、雪さんから差し入れもらったよ」

現場の他の雑用組はなんか袋持ってるし。

「え、いつ来た？」

「さっき」

サーターアンダギーだ。休みのときたまにめちゃくちゃ作る。

電話しとこ。

「雪、来てたなら言ってよ」

「は？あんたどこほっつき歩いてたわけ？いなかったでしょ」

「休憩だったのに…」

「あーそう。遅い休憩ご苦労様」

「探してよー」

「はぁ？家にもまだあるし、食べればいいじゃない」

「わかったー。今日は早めに帰るようにしまーす」

「はいはい」

雪はそっけないなぁ。持ってくるの教えてくれてもいーじゃんか！

「美月くんは、今一緒に住んでる？」

「はい」

「すげぇなぁ」

なんだかみんなに関心された。俺なんて、雪に構ってもらうだけだけどね。

「あ、の？誰の話ですか？」

藤原くんも混ざる。恋話好きなのかな。

「美月くんと雪さん同棲してるんだって」

「え、そ、そうなんですか？」

「うん、まぁ」

藤原くん、そんなに驚かなくても。

「実は…振られてしまったんです」

あちゃー。この話題はまずい。いじめに近いぞ。ごめんね藤原くん。

「ど、ドンマイ！」

「雪さんに」

「え、雪？え、振られた？…て？」

いったいどういうことだ。理解ができないぞ？

「告白して、振られたんですよ」

「えー！？雪のこと嫌いかと思ってた」

「逆です。あんなに叱ってくれる人、素敵ですよ…美月さんだったんですね、彼氏は」

「え、うん。なんか、ごめん？」

この返事でよかったかな。どうやっても嫌な感じになるなぁ。

「いいです。また次に行くまでです」

藤原くんはめげずに頑張るようだ。偉い！