自分を欺く方法

@Hachikou0501

第1話

自分の物語を描こうとしたとき、自分がどれだけつまらない人間かを思い知らされる


いつしか、私を襲う虚無感は友人として心の中に居座り始めた


友人は私にいう


『あなたは何も持っていない』


友人は残酷に何度も私の耳の奥で繰り返した


子供の頃、私の友人はもっと親切で優しかった


言い換えれば、とても都合がの良い友人


私が求める言葉を全て与えてくれた


友人はいつでも自由に姿を変えられた


例えば、男性でも女性でも、幻の動物でも、なんでもね・・・


他にも、私をどこへでも自由に連れ出してくれたし、特別な人間だと思いこませてくれた


人前に立つのが苦手な私を舞台の上に連れ出して、醜い私に対しても、平等に扱ってくれた


あなたは他人に整形をしたほうがいいといわれた経験はある?


私にはある


美しい母と美しい二人の妹と比べられ続けた


誤解しないで欲しいのは私は妹のことを嫌っていない。


愛してる


でも、時々妬むことはあったけど、もう一度いう


私は家族を愛してる


誇りに思ってる


けれど、普通の家庭とは違ったの


これからするのは不幸自慢でもマウントを取るつもりもない


ただ、事実を語るだけ


泣ける話をするわけでも、特別感動する話でもない


ただ、ここで問題なのは私の中で普通という概念は理想に近いものになっていることに、30歳すぎてようやく気付いたの


私は、それをアート思考と名前を借りてみたり、私にしかない特別な感性だと思い込んでいた


ううん、今も時折思い込んでる


だって、私の友達があまりにも残酷に繰り返すものだから・・・


話を戻すね


私が何も持っていないことを証明するには、まず、幼少期の話まで戻らないといけない。


まって、ブラウザバックしなしで


後悔はさせない


けど、私の物語を読み終わった後に、特別何かを得られるわけではないことも断っておくね


そもそも、何も持っていない私のような一般人が投稿する小説に求めているのは、暇つぶしでしょ?


私は、少しでも自分を特別に見せるために、何もない持っていないことを言葉で着飾ってみたくなったのよ


矛盾してる?


だって、言葉って嘘つくためのものでしょ?


現実の私は何も持ってない。


けれど、こうやって文章を書いたり、空想をすると落ち着く


お金もかからないし、誰にも迷惑も掛からない


エコロジーでしょ?


最近、みんなこの言葉好きよね?


SDGSだっけ?


再生可能エネルギーだとか、性差別をなくそうとか・・・


大きな事を掲げるのはみんな好き


だって、その瞬間は目の前の大切な問題を見過ごしても、気づかない


皆自分が世間を知ってるような気がして、善人のようなふりをできるの


でもね、そういう人って大概、難しい横文字とか、専門用語で誤魔化してるだけ


本質には触れない


試しに、ブランド物や学歴、人脈を自慢してくる人間と高級レストランへいくといい


成金はとりあえず、産地を見ずに高いお酒を注文するだろう


そして大概異性をみて点数をつける


ワンナイトラブだけが目当ての場合、平均点より少し上の人を選ぶ


あぁ、本当、吐き気がする


あと、あれもうっとうしい


好きな芸能人は?


胸が大きいとか、身長が高いとか、顔が好みとか


本当、クソ退屈


けどね、もっと退屈な人間を私は知ってる


美味しくもないお酒をわかったふりをして飲んだり


好きでもない芸能人を好きだといってみたり


1年後には着る事のない、服を買ってみたり


そう・・・・


それが、私だった


自分で考えることを全部やめて


周りにながされながら


誰かの為といって生きてきた


結局それは全部、誰かに責任を押し付けるための、逃げる口実


最高に退屈な私、『根元あかね』が、


自分自身を欺く物語である。

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