第2話 おじさんドキドキする
【前話ダイジェスト】
あるんだよ…神様にだって
「まさか初めてのお相手が部下ですか!?」とあせる瞬間
【本編】
黒電話の嵐が(気付いたら)去っていたオフィス。そこは、これまた黒電話同様、レトロな石炭ストーブが「カキンっ」と金属の膨張音?を響かせる空間に生まれ変わっていました。
どう考えても、今の方が望ましい環境でしょう。あの慌ただしいのは好ましくない。
ですが、この課の窓口とも言える電話回線を、全く繋いでいない今の状況は、よろしくない気がするのですが──
「主任、抜いても良いって……」
「いやはや、抜くべきでしょう。入れっぱなしは良くありません」
記念すべき私の初めてのお相手(電話初対応)は、やはりこの女性なのでしょうか? それに「入れっぱなし」だの「抜く」だのって、なんだか、いや、そんなことはありません。えぇ、ありませんったら。今までパートナーなど居た経験もない私の考えすぎなんです。そ、そう、なんだかドキドキしますが、これはきっとパワハラで訴えられるのを恐れているからでしょうね。
「ですよね! あんなに優しくしてくださったんですもの♪」
「イヤイヤ! 優しくも何も、私、手は出しておりませんよ!?」
「えっ? えぇ……アドバイスをいただいただけなので、手出しと言えるかは判らないですけれど」
石炭ストーブの上に置かれた薬缶が、シューシューと湯気を吐き出す音が、耳を刺激します。
──はい。慌てすぎました、私が。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます