第9話 二人でお食事

 僕はフェレスと一緒に隣国のカシオン共和国に向かう事になった。


 途中までは標識で移動したが、魔力が減ってきた為、途中で標識は消し徒歩で移動する。この辺りで既に危険な森からは出ていた。


 一応途中に宿場はあったのだが、手配書が回ってる可能性もあった為、今夜もパーキングエリアを利用しようと考えたのだけど、問題はフェレスも一緒に入れるかという点だった。


「す、凄いにゃ! これは一体なんにゃ!」


 フェレスが僕を振り返り眼をまん丸くさせながら質問してきた。

 結論から言えばフェレスが入るのに全く問題がなかった。パーキングエリアの標識を立てた後、先にフェレスに入ってもらったら問題なく入れたからだ。

 

 どうやら召喚者である自分が最後に入った場合のみ入り口が閉じる仕組みなようだね。


「僕の標識召喚で生まれた施設なんだ。そこに建物があるよね。今日はそこで休もう」

「ほ、本当にマークの魔法は凄いにゃ――」


 キョロキョロしてるフェレスを促して小さな建物に入った。


「これが自動販売機といってここに――」


 自動販売機についてフェレスに説明する。これにも驚いてはいたけど理解はしてくれたようだ。


「一応最初はサービスだったんだけど大体使っちゃって……だから後はアイスとお菓子というのしかないけどいいかな?」

「それならあたしが出すにゃ! これでも冒険者としての稼ぎは残ってるし、色々助けてもらったお礼にゃ」


 フェレスがお礼の意味を込めて驕ると言ってくれた。申し訳なく思ったけど本人が納得いかないようだからお言葉に甘えることにした。


「ここから入れるにゃ?」

「そうみたいだね」


 フェレスが先ず銅貨一枚を投入する。こちらの世界には銅貨、銀貨、金貨、白金貨の四種類がある。もっとも白金貨なんてそうそう見る機会がないけど。


「何か出てきたにゃ」

「金額だね。今の銅貨で100ポイントみたいだ」

「これ数字なのかにゃ?」


 向こうの世界とこちらの世界では文字そのものが違うからフェレスだとこれは読めない。


「これを入れるとどうなるにゃ?」


 今度は銀貨を入れた。1000ポイント増えた。


「凄いにゃ!」

「はは。でもとりあえずそれだけ入れれば十分じゃないかな?」


 自動販売機を見ると缶飲料で100ポイント、ペットボトルで150ポイント、カップラーメンなどは200ポイント程度かな。


 その他僕が最初に食べた唐揚げで250PTなどだ。二人で今夜食べる分は十分と言えるだろう。


「迷うにゃ……このカレーパンが気になるにゃ」

「フェレスのお金で買うものだから好きに選んでいいんだよ~」

「マークはどれがいいにゃ?」

「それじゃあ――こっちの焼きそばパンで」

「一つずつ選ぶにゃ。後はこっちのは何かにゃ?」

「一応サイドメニューみたいな扱いだね。パンやおにぎりに合わせて食べることも多いみたい」

「それなら――」

 

 結局カレーパン、焼きそばパン、フライドポテト、唐揚げ、それと飲み物を購入。それでもポイントはちょっと余っていたね。


「美味しいにゃ! とんでもない美味しさにゃ!」

「気に入ってもらえて何よりだよ」


 フェレスはどれも美味しそうに食べていた。折角だから僕も残ったアイスとお菓子を購入してわけてあげることにした。


 アイスは販売機の中で一番高かったプレミアムモナカをお菓子は焼き菓子にチョコレートを乗せた物を購入した。

 

 モナカはアイスクリームを皮で包んだ冷たいお菓子だ。こちらの世界ではあまり見ないお菓子だね。


 焼き菓子にチョコを乗せたのもね。どちらも二人で分け合えるから選んだ形だ。


「冷たくて甘くて美味しいにゃ~♪ こっちのお菓子もサクサクして甘くて最高だにゃ~♪」


 フェレスはとても幸せそうな顔を見せている。飲み物に紅茶を選んだけどスイーツに良く合う。

 

 その日の食事は二人で楽しめたよ。後は椅子で寝て夜を過ごした――

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