第3話
3週間が過ぎて、オリエンテーションも終わり、学校生活にも徐々に慣れてきた。
さとちゃんは感情の表現が豊かな子で、別のクラスの子にも声をかけに行っていた。
この、ほんの少しの学校生活でわかったことは、わたしは人形よりぬいぐるみが好きで、スカートよりズボンが好きということ。
かといって、小学校の制服はスカートだったのだが、特に嫌だったわけではない。
私には似合わないな、とは思ったけれどそれ以上でも以下でもなかった。
友達との喧嘩は長引かせるのは嫌いだったし、なにより人を笑わせるのが好きだった。
褒め言葉は『ゆうちゃんって面白いね』だった。
男の子とちょっと活発な女の子との遊びの方が、休み時間に教室でシール集めやお絵描きをする子と遊ぶよりも楽しかった。特にサッカーやドッジボールが魅力的だった。
クラス全員の名前と顔をまだ覚えてはいなかったが、遊びが仲間を増やしてくれた。
いつものように、2時間目の授業が終わって、大休憩にボール遊びをするために準備をしていると、
ふと窓際にいる色白で細くて、二つ結びの女の子が目に入った。机に置いてある小花のハンカチがとても可愛い。
おとなしそうだけれど、その子が笑うとふわっとした気持ちになる。なにをしているのか気になって話しかけようとしたが、
『ゆうちゃん!時間なくなっちゃうよー!』と、仲間たちの声が聞こえたので、
『すぐいく!』
と、走って外に出た。
外に出てから、一階の窓に映るその子が、いったい今誰と笑い合っているのかが気になっていた。
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