第五話 ハルマゲドン 開催

…初めて、初めて他人に優しくされた…

こんな私に優しくしてくれる彼女は…


『…彼女…何者だ…?』

「…え…?」

私は心の中を見透かされた気がして驚いた


…?エントリー出来る…?

 そんな事簡単に出来る訳がない…

 彼女は…いったい…何者なんだ…?』


…普通に考えたらそうだ…しかも

自分で言うのもなんだが客に引かれる試合をした奴に

…それも人間に渡すか普通…?気に入れられた…?


ハルマゲドンの会場、バトルアリーナに着いた頃には

既に真夜中だった。灯りがちらほらと見える。

カウンターには誰もいなかったので一言声をかけると

どこからともなく受付らしい服をきた

1m程の紫の悪魔が現れた


「お客サマァもうエントリーの受付は

 終了シテおりますゥ…

 それとも何か…他のゴ用件でしょうかァ?」

「これ出せばエントリー出来るって

 聞いたんですけど…出来ますか…?」

彼女から渡された紙切れを出すと

「少々拝借シますねぇ…………うん……?

  コレ…は………………」


なにやら受付の様子がおかしい…受付が振り替えると

「了解シマシタ、エントリーノ受付ハコチラニ

 オ任セクダサイ。ソレデハオ部屋ヘゴ案内シマス」

急に棒読みになり、エントリーは了解、

部屋へ案内すると言ってきた…どうなってる……?


「コチラガオ部屋ニナリマス、ナニカアッタラ

 ゴ連絡ヲ…ソレデハオクツロギドウゾ…」

そう言って受付は去っていった…


『…なんだったんだ…?今のは…』


実に不可解だったが、とりあえずエントリーはできた

ひとまずよしとしよう

部屋の内装は高級ホテルの様だった

部屋の中央にはテーブルと椅子が2つあり、

金のカーテンの間からは窓が夜景を映す


「…私…場違いなんじゃないの…?」

『まぁ誰もいないんだからいいんじゃあないかい?』

「まぁ、休もうかな…今日はどっと疲れたよ…」

『そうだね、明日の為に英気を養おう。

 でも、明日からはもっと大変になるよ』

「そうね…あ、シャワー浴びるから、覗かないでよ」

『安心したまえ、興味ないから』


……今バカにされた……?


そんな事を考えながらシャワーを浴びる

ちょうどいい温度のお湯が体を温め

疲労した体に染み渡る…


…ふう…疲れたなぁ……

明日からは今日よりも大変なんだろうなぁ…

でも…バラモンの記憶の為、

そして何より私自身の願いに為に…


「明日も…頑張ろう…」

久々にやる気が出た。いつも虐められ、

何もできずにいた私が、こんな、

何かの為に頑張ろうとするなんて…


シャワーを浴び終わると、着替えてそのまま

ベッドにダイブした。ふかふかの生地が大きく弾む。


『今日はもう寝るかい?』

「そうね…おやすみ…」


そう言って私は目を閉じた…


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





      落ちる 落ちる 落ちる


       深い 深い 深淵に


      落ちる 落ちる 落ちる


         終わりはない


      落ちる 落ちる 落ちる


        底など ない


       ただただ 落ちてゆく


       無意味に 無価値に


     ずっと ずっと 落ちてゆく


   私の体が 闇に 黒に 染まるまで




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



ばちり と目が開く


ハァッハァッハァッ…ハァッ…ハァ…ハァ…

う、うぅ…う…


酷い…酷い夢をみた気がする…

『うなされていた様だけど大丈夫かい…?』

バラモンが心配そうに聞く

「ハァ…ハァ…うん…だ、大丈夫…」

『そうかい…?それならいいんだが…あ、

 今日は昼前に開会式があるみたいだよ

 それまでは自由にしていいって』

「うん、わかった ありがとう」


起きたら洗顔して朝食を食べる

パンにベーコンエッグらしいものがのっているものや

なにかのスープなど、意外にもこちらの世界と

あまり変わらないものがだされた


朝食を食べ終えると時計を見た

まだ7時を過ぎたばかりだった

昼前まではまだ時間がある…

「この後どうする?まだ時間あるけど」

『そうだね…少し外を回ろうか』

バラモンの提案で外を回って偵察や探索しようという

ことになった……


町を練り歩き、出場者を調べたり町を探索していたが、彼女に関しての情報は得られなかった


気づけば既に11時を過ぎていた

『おや、もうこんな時間か。会場に行かないとだね』

「うん、そうだね…」


…あの人…見なかったなぁ…

色々聞きたかったのだけれど…

『累。どうかしたかい?開会式には遅れられないよ』

「あ、ごめん。ちょっと考えごとしてた…今行くよ」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


『皆様、お待たせ致しました。ただいまより

 ハルマゲドン、開会式を始めます。

 進行はわたくし、テラーがお送り致します』

『そして!実況は私、テリーがお送りしまぁす!』

双子らしい女の子達が開会式の開始を宣言すると、

ファンファーレが鳴り響き

それにあわせて観声が上がる

その後、開会の言葉やらなんやらが続いた


『さぁ!お待たせしましたぁ!ハルマゲドンで

 勝ち上がるのは誰なのか!選手の入場です!』


私達参加者が一斉にアリーナ中央に集まる


『この100人の中から今回の優勝者が決まります。

 それでは、優勝候補の方々をご紹介します。』


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

悪魔の娘(仮) だぐだぐ @dagudagukazuki

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ