第四話 招待

「ハァ…ハァ…ハッ…ァァ…」


左腕の激痛に耐えながら円盤から降りる

ふらつく足取りで控え室に戻る

途中何人かすれ違ったが

誰も彼もが累から目を背ける


痛みがぶり返す…左腕の感覚が無い…

折れたかな…?動かない…痛い…

「フフッ…アハハハッ…」

骨が折れた時に痛みで笑うってホントなんだな…


そんな事を思いながら控え室の扉を叩く


扉が開くとそのまま…糸の切れた人形のように倒れた

『あれ…力が入らないな…床が…目の前…?

 あ…ヤバ…い……』


……………………………………………………………


……………………………………………………………



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「ん…うん…?」

頭が柔らかいモノで包まれてる感覚で目が覚める


「あら?起きた…?無事でよかったわ~」

綺麗で透き通った声がする…

重い瞼を開けると眼前にたわわに実った果実があった


!!!???!!

驚いて体を起こそうとすると全身に激痛が走…らない

代わりに谷間に挟まれてそのまま寝かされた

「そんな体で無理しない!いくら治癒したって

 無理は体に良くないわよ…?」


…どうやら治療所…?にいるらしい…幾分かたって…

「うん…もう…大丈夫です…だからもう…」

「あら、ごめんなさい?いま退きますね~」

大きい胸が視界から遠ざかる…その爆乳の持ち主は

治療室には似合わない黒をベースにした

ピンクと金の装飾を施したコートを羽織った

胸元を大きく開けた 金髪のモデル体型の女性だった



『ねぇ、バラモン…いる…?』

『おや、起きたかい累、体は大丈夫かい?』

うん…治療…?してくれて怪我はもうない…のかな?

全身を撫でて怪我が無いのを確認する


「あなたねぇ、酷い怪我だったのよぉ…?

 今日じゃない怪我も沢山…全部治癒させるの

 大変だったのよぉ…?」

「あ、ありがとうございます…あ、あの…

 私が…怖くないんですか…?」

「怖い…?…確かに…あの試合を見た人はあなたに

 畏怖するでしょう…でも、今のあなたは

 普通の女の子でしょ…?怖くはないわ…」


累は改めて自分がただの人間なのだと自覚する


「それにね、私ぃ…あなたに興味あるの…

 あなた…ルインって言ってたわね…?

 あなた、ハルマゲドンにはでるのかしら…?」

「出る…つもりだけど…?」

「そう、だったら…これを持っていきなさい…」


そう言って女は胸元から紙切れを出して

それに息を吹き掛けた後渡してきた


「これは…?」

「招待状よ…あなたが倒れてた間にもう

 締め切り間近なのよ?これを見せれば

 例え間に合わなくってもエントリー出来るわ」


「…なんで…なんでこんな親切にしてくれるの…?」

「……そうね…知りたかったら…ハルマゲドンで…

 勝てたら…教えて上げるかもね…?

 ほら、今日の受付終わっちゃうわよ、

 早く行きなさい…」


…しぶしぶ私はコロシアムを後にした…

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