第一話 邂逅
唐突な目覚ましの音で 意識が覚醒する…
重たい瞼をゆっくりと開き
目の前の髪を掻き上げながら軋む体を起こす
最近よく夢を見る
しかし起きると不思議と内容を覚えていない…
時計は5:40を指している
「はぁ……」
朝食の準備をしながらため息をつく
自分以外いない食卓に 昨日の余りなどを置く
両親は少なくとも家にはいない
二人共仕事で基本的に家を空けている
そのため私の悩みを聞いてくれる人など いない
友人も 助けてくれる人も いない
朝食を食べ終え歯を磨いていると
嫌でも目に入る鏡に自分の顔が写っている
大人びてはいるが まだ少女の面影が残る
長く細いまつ毛 腰まで延びている黒い髪
前髪は眼前まで伸ばし 赫い瞳を隠している
その顔自体は美しい整った顔立ちをしているが
絆創膏やテープが埋め尽くしている
その瞳に 光は ない
当然だ 特に将来もないのだから
歯を磨き終え 高校に向かう
「行ってきます」と少女はぼそりと呟くが当然
「行ってらっしゃい」と返事が返ってくるはずもない
高校までは歩いて20分
校門には先生が服装をチェックしているが
機能はしていない せいぜい見守っているだけだ
顔を隠しながら登校し、席まで歩いて顔を上げると
予想していた光景がそこにはあった
自分の机の上に死ねだのなんだのと書いてある
さらに汚水をぶちまけた様子である
そのうえご丁寧に 椅子には
液体糊がたっぷりと乗っている
金髪の女達がニヤケながら近づいてくる
「アタシがせっかくデコってあげたんだから
感謝の一言ぐらいどうなの?」
いつも通り無視して座らず突っ立っていると
「返事くらいしたらどうなの?」と 襟を掴まれる
「えぇ 聞いているわ 燕はなんで一人立ち
するのかでしょう…?」
「ンなこと聞いてねぇわ!」
「バカなんじゃないの?」
「日本語も通じないなんてねぇ」
周りからも 罵倒され、蔑まされる
その後からは図体のデカイ男がずかずかと歩き
前髪を掴み上げる
「また、痛い目見てぇか…?オイ」
拳を引きながら脅迫 もう何回目かも覚えていないやり取りに 先が分かっているので無視すると…
ドスッ
と腹に拳が突き刺さる
鈍い痛みに苦悶の表情を浮かべると
「なんとか言ってみろよボケがッッ!
俺ぁテメェみてえなのが視界に入ると
ムカつくンだよッ!
俺の視界に入るんじゃあねぇッ!」
顔や腹 至るところに激痛が走る
うっすらと瞼を開けると
周りの女共も暴行に加わっているようだ
チャイムがなりと一斉に暴行をやめ、
私を投げ捨てる 周知の事実なのに
先生には見られたくないんだとか
私は机と椅子を拭き取るとちょうどHRが始まり
私は席に着く
授業の合間に呼び出されパシられる
無視するのが私の反抗だが
なんで買ってこねぇと
何度も痛めつけられる
昼休みになると私はすぐに帰る
午後の授業は受けない
昼休みという長い拷問を受けるよりは幾分かはマシだ
家に着くと私は何も言わずに部屋に籠る
布団を被り体育座りして何分か経つと
突然布団から飛び出てわ壁を殴りベッドを蹴り
叫びながらそこら辺の目につくモノ全てに当たる
クソがぁッッックソッ!クソッ!クソッッ!クソがぁぁッッ!
ハァ…ハァ…ハァ……う……ぐぅ…ぁ…う
散らかった部屋で己の血で手足が赤く染まる
痛いとは思わなかった 自分が弱いと
情けないと思い そう思ってしまうともう
体に力が入らなかった その場に足から崩れ落ち
…う…うぇぇ…ッぐ…えぇぇ…う…あぁぁ…
うえぇぇぇぇ……うぇぇぇぇぇ……!!
泣き崩れた 大粒の涙が両目からとめどなく溢れ
止まらなかった 止められなっかた
「わ、私、なんかが、ひっく、私なんかがいるから
…うぅ…私が、うぇ、悪いんだぁぁぁぁ」
「そうなのかい?
僕にはキミが悪いとは思えないけどなぁ…?」
えっ??
急にその場に現れた声に驚き顔をあげると
自分以外いないハズの空間に、ソイツはいた
真っ黒い体にちっちゃい角の生えた2頭身の生物は
手にのる程の大きさで、羊のぬいぐるみみたいだった
「ふぇ?…ぇ……………???」
「う、うわぁぁぁぁッ!!!」
心底驚いた様子で後ろに吹っ飛ぶ
「おや、そんなに驚かなくたっていいじゃあないか」
「あッあなっあなた誰なんですっ!
何者なんですかっ!」
「指を差すんじゃないよ ボクはねぇ…
「イヤッ聞きたくないっ妄想と話すなんて
もう死んだ方がマシッ」
「聞いてきたのはキミだよ…?
あと妄想じゃあないから安心したまえよ」
……………
「あ、あなた誰なんです…?」
「キミ結構情緒不安定だよね…
ボクはバラモン。ファーサ•バラモン
キミ達の世界で云うところの……
悪魔だ
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます