第三話 「転校生 【後編】」

時刻は12時前、昼食前の時間帯。


「そろそろ自習も終わるが、みんな~スクリーンに注目!」


教室に入ってきた静恵先生は、大きなスクリーンに指で俺の名前を書く。


「朝礼の時に紹介した上野四音。今日から2年B組の一員だ。じゃあ四音、自己紹介よろしく。」


「上野四音です。よろしくお願いします。」


俺は少し緊張しながらも、落ち着いて自己紹介をする。

クラスに軽い拍手が鳴り響いた後に


「色々気になる事もあるだろうが、本人はあんまり注目されたくないらしいので、ほどほどにしてやってくれたまえ。」


静恵先生は気遣いの言葉を言いつつ、空いてる席を指しながら


「じゃあ四音の席は窓側奥の一番端、空いてる二つの席の窓側な」


俺は指示通りに席に向う。やはり視線は感じるけど(転校生なら当然か)と割り切り、

席に着席すると丁度チャイムが鳴る。


「じゃあ午前の自習はここまで、昼食後は外で魔力を使った実戦訓練をやるから着替えて校庭集合な、遅れるなよー。」


静恵先生はそう言いながら教室を後にすると、生徒も切り替えて昼食を食べに学食に向う者や鞄から弁当を出す人がいる。

俺も鞄から自分のコンビニ弁当を取り出すと、前の机の男子生徒から


「よう!、俺は武藤正真むとうしょうま。正真って呼んでくれ!!」


と声をかけてきた。


「俺は上野四音、四音で大丈夫。よろしく。」


「こちらこそよろしく、マジで知らん顔だけど個人ランキングとか入ってる?」


正真は俺の方に向いて弁当を食べながら質問する。


「俺1年間海外に住んでたからランキング入ってないんだよ。」


「あっ、そういやそんなこと言ってたっけ。」


個人ランキングというのは【日本総合バトル、個人ランキング】の略で、魔法、剣、銃などの全ての使用が可能の中での個人戦をする。

それ以外には、ペアや団体戦、魔法禁止などの規制を設けた試合もある。

日本は殆どの人が高校生の年齢になるとランキング戦に参加し、個人戦は全国1000位以内から公式に順位がつけられる。

100位からは上になると、メディアに載る大会が増えて、上位10名を「十傑」と呼び4年に1度の世界大会に参加可能になる。更に上位四名は「四天王」扱いになり世界大会のシード権も得られたりとかなり優遇される仕組みだ。


「因みに俺のランキングは196位だぜ。最近調子良いからこのまま順位伸ばしていきてーな!」


「196位は凄げーな。このクラスの中でも一番なんじゃないか?」


「まあ普通はそこそこ凄いんだが…。このクラスには俺より上が後5人いるんだよ。」


正真は両手を後頭部に乗せ、椅子を傾ける。


「それはまた凄いな、流石は名門『東法高校』。レベルが高い」


「まあなー。このクラスは特に上のレベルが高いぜ。特にお前の隣の席な。」


正真は手に持ってる箸を使って空いてる俺の隣の席を指す。


「?、そういえばさっきから俺の隣の席が空いてるけど、誰かお休みでもしてるの?」


俺も隣の席を見ながら問いかけると。


「昨日、地方防衛任務があったからな。少し家も遠いし、いつも午後から登校してくるんだよ…って言ってたら噂の人物が来たな。」


正真はそう言いながら廊下の方を見る、俺も釣られて廊下の方を見ると…


「総合個人ランキング4位。四天王の一人『白石潮満しらいししおみ』の御出座しだ。」


そこにはショートヘアが似合う金髪の美少女が、廊下から俺の隣の席に歩いて来ていた。




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