第30話妹幼馴染⑩

 いつもありがとう。


 「やばい」

 ふ、最終的に勝てればよかろうなのだァァ。

 などと、有名な台詞を言いたなるぐらい盛り上がっているのは、とある、鉄道ゲームのせいだ。


 ある日、幼馴染と勉強をしていると地理で躓いていた。

 初めは、すぐに覚えるだろう、と高を括っていたがそうはいかなかった。

 「もう、無理だよ」

 幼馴染は机に突っ伏した。

 躓いている点として、基本である県名と位置が合致していない。

 県名がでてきても位置が違ったり、そもそも県名すらでてこない、こともザラにあった。

 どうしたもんかと、頭を抱えいていた。

 すると、おばさんが。

 「そいえば、昔鉄道のゲームなかった?日本巡るやつ」

 キッチンから言った。

 鉄道のゲーム?

 そんなのありましっけ?

 思い出していると幼馴染が。

 「李鉄」

 あ、それだ。

 李電鉄伝説。

 それは日本各地が舞台のテレビゲーム。

 ボードゲームをテレビゲームにいれたような内容で。

 各地の駅をゴールに設定でき、そこを目指してすごろくをするゲームだ。その間、物件と言われるその地の名産品を買って最後所持金が多い人の勝ちといったゲーム。

 あれは確かに、県名はもちろん有名な都市や名産品などもわかる。

 確かに、それなら勉強にぴったりだ。

 それにゲームなら幼馴染もと取っ付きやすいだろう。

 でも、肝心のゲームカセットがない。

 俺はそもそも、そういった毛色のゲームしたことがなかった。

 当然幼馴染も、持っていない感じだ。

 ネットで調べてみると、古いのだと安く売ってるみたいだ。

 これはまた今度だな。 

 今回は諦めて、勉強を続けようとしたら。

 「今日はもう、ゲームの気分になった。もうやめ、おにい上行こ」

 幼馴染は、俺の服を掴み引っ張る。

 そうだな。取り敢えずここだけ終わらせるか。

 「えええ~」

 俺は幼馴染を甘やかさない。

 やるときは、しっかりやる。

 これが俺の信条だ。


 翌日幼馴染の家に行くと、幼馴染は珍しくリビングにいた。

 テレビの前で何やらゲーム機をテレビに接続していた。

 「あ!おにい、これ」

 幼馴染はカセットを持って手招きをする。

 幼馴染が持っていたのは、李電鉄伝説だった。

 どうしたの、これ?

 「ママが買ってきてくれた」

 「まあ、最近頑張ってるからご褒美にね」

 おばさんニコッと笑い言った。

 幼馴染は新しいゲームを前にして、ソワソワしていた。

 「できた。よしやろ」

 いいよ。おばさんもどうですか?

 二人でもやるもの何なの、誘ってみる。

 「いいの?」

 「うん。このゲームは3人の方がいい」

 幼馴染も承諾して、3人ですることにした。

 ゲームはやる時間を設定できた。

 「3年モードでいい?」

 いいよ。

 3年モードはゲーム内の年月で3年で決算する。だいたい、1時間半ぐらいで終わる。

 ゲームを始めると、まず最初の目的地がランダムで決められる。

 目的地は、名古屋だ。

 最初は東京スタートで、幼馴染から俺、おばさんの順だ。

 サイコロを振り、3が出た。

 行く方向を決め、ボタンを押し進める。

 近道をコンピュータが教えてくれるので、指示に従うのが丸だろう。

 幼馴染は青のマスに止まった。

 青のマスはお金が貰える。

 ルーレットで額が決まり。

 「2050万円貰った」

 ぶっ飛んだ額かもしれないが、物件を買って回るゲームなのでこんなもんだろう。

 よし、俺の番だな。

 サイコロを振った。

 「1だ」

 幼馴染が、バカにしたように言った。

 俺は、スロースターターなの。

 しかも、進めば赤のマス。

 赤のマスは罰金のマス。なので仕方なく右に行く。

 右は黄色のマスでカードを貰えるマス。

 カードはゲームを有利に進めたり、自分や周りにデバフの付くようなものもある。

 これも、ルーレットだ。

 貰ったカードは。

 「牛歩カード?」

 貰った瞬間、自分のコマが牛に変わった

 「可愛くなったね」

 おばさんは、ただ見た目が変わるだけだと思っているが違う。

 俺が説明しようとしたら、幼馴染が言う。

 「ママこれは、毎回一歩ずつしか進めなくなるカード。だから、今回おにいはもう負け」

 「そうなの。ライバルが減るのはラッキーね。よし、私の番」

 おばさんはノリノリでゲームする。

 きっと娘とゲームができて嬉しいのだろう。

 おばさんは6を出しコマを進める。

 「お、青だ。よしよし」

 青のマスに止まりお金を貰って、番は幼馴染になる。

 ここからは順調にコマを進める二人に、おいて行かれる俺。

 するともう、幼馴染はあと5マスというところまで来ていた。

 「ここにかける」

 魂を込めて投げたサイコロは無慈悲にも6の目だった。

 「くっ。あと1マス」

 悔しそうに顔をしかめる。

 「ふっふっ。ママチャンス」

 俺のターンはすぐに終わり、おばさんの番だ。

 おばさんはあと3マス。

 「ここ」

 投げたサイコロは3を出した。

 「やった!!」

 おばさんは声を上げて喜んだ。

 「大人げない」

 ボソッと呟いた幼馴染は機嫌が悪そうだった。

 「ふふふっ。娘だからといって手加減はしない」

 ゴールすると、賞金と次の目的地ルーレットを回せる。

 そして、そこで買い物もできる。

 次の目的地はいわきだ。

 「どこそこ?」

 幼馴染は知らなかった。

 確か福島でしたけ?

 「そう。海沿いだから海鮮類が美味しだよ」

 行ったことあるんですか? 

 行ったことあるような口振りで、つい聞いてしまった。

 「うん。高校のときにね」

 そうなんですね。

 「それより、早く番回して」

 興味ない幼馴染は、少し苛ついていた。

 そして、おばさんは人気のある喫茶店の物件とえびせんやを買い、番を回した。

 幼馴染は、とあるカードを使った。

 急行カードだ。

 急行カードは初め全員に配布されるカードで、振るサイコロ数が増えるカード。

 「次は私がゴールする」

 幼馴染は半ば意地だった。

 振ると4と6が出て、合計10進めた。

 しかし、いわきだと来た道を戻ることになる。すると、俺が有利なのではと思うがまだ牛歩カードの効果が消えてなかった。

 なので、サイコロを振ることはなく俺の番は終わった。

 おばさんは普通にサイコロを振り、進める。

 二人はあっと今に、俺を通り過ぎていった。

 俺が戻ったのは二人が、もうじきゴールするかといった頃だった。

 「やったー。やっとゴール」

 今回ゴールしたのは幼馴染だった。

 幼馴染は両手を上げて喜んだ。


 そこから、俺がゴールしたのは2回あとだった。

 あっという間に2年目の後半に差し掛かった。

 今の順位は。

 1位おばさん総額約22億

 2位幼馴染総額約21億

 3位俺で総額約19億

 俺の優勝はもうないが、あと2ヶ月あとサイコロを振れるのは4回。

 一回でも幼馴染がゴールすれば優勝もなくはないだろう。

 「ここでゴールすれば、私の勝ち」

 「やってみな、ママがゴールするから」

 盛りあがっていた。

 俺はもう位置的にゴール出来ないので、少しでも少しでもお金を稼ごうと青マスに止まるよう動いた。

 すると、青マスに止まった時。

 黄金に輝いた。

 「なにこれ?」

 「ひ、光った」

 キターーー。

 これは、あまりやったことのない俺も知っている。

 七福神降臨と、画面いっぱいに表示された。

 七福神降臨イベント。

 これは止まるマスが数ターン全て黄金マスになってもらえる額が2倍になるのだ。

 なので、回っている額が全て数億単位だ。

 このターン俺は1億もらった。

 「ヤバい、これ」

 「どうしたらいいの?」

 ここから逆転だ。


 と思ったが、そんなうまくは行かないらしい。

 このゲームは、お金があればいいというわけでもなく物件、も重要なのだ。

 最終的に所持金一位は、俺だったのだが。

 総合優勝はおばさんだった。

 おばさんは、人気のない物件も買っていて。

 しかも、何かと言ってゲーム内コンテストで勝っていた。

 そこは、昔の経験が生きているのかもしれない。

 「むーーー。もう一回。もう一回」

 幼馴染が再戦を申し込んで、おばさんが。

 「ふ。かかって来なさい」

 それを受け入れた。

 その日は帰れなかった。


 その日の夜。

 俺が客室で寝ていると、誰かが入ってきた。

 まあ、こんな皆寝てる時間に入ってくるのはあいつしかいないだろう。

 もぞもぞと、足元からベットに入ってくる。

 なにやっての?

 「あ、バレちゃった」

 テヘッと、舌を出すのは幼馴染だ。

 「いや、今日あんまりお話できなかったかさ」 

 と、申し訳無さそうな顔をする。

 はあ、とため息を付き。

 少し話したら、部屋戻れよ。

 「う、うん」

 受け入れると、幼馴染は嬉しそうな顔をして抱き締めてきた。

 「ねえねえ、昨日ね・・・」

 幼馴染は楽しそうに話をするのだった。

 俺は少しでも、幼馴染が楽しく幸せになるために、幼馴染のそばにいる。



おまけ

おにい遅れるよ。

ちょっと待ってじゃない。

スーツじゃなくても、いいのにさ。

それに、こんなことしなくてもいい。

おいにとパパの悪ノリだからね。

その、形形言うのやめてよ。

いいじゃ別に。

むっ。拗ねてませんー、だ。

ほら、遅れたら形も何もないよ。


大丈夫だって。

君が、言ったでしょ。

ここで躓いたら、私許さないからね。

うむ。分かればよろしい。


ほら、桜咲いてるよ。

次見るときは、3人でね?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

幼馴染がかわいい!! あすペン @Asuppen

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ