第26話クールな幼馴染さん⑨
見上げる空は。
昼食を食べて、2時間ほど経っていた。
あのあと、3店舗ほど見てみたがやはり幼馴染さんが探していたものはなかった。
「最後にしよう」
と、いって最後、駅に併設されているデパートに行った。
デパートには前の店舗の半分ほどの売り場しかなく、すると見るとこもなくすぐに終わってしまう。
「駄目だったな」
僕らは喫茶店で休憩していた。
そうだね。
歩き疲れ、冷たいものを飲みたくなっていたのでレモンソーダを注文して、幼馴染さんはアイスコーヒーだった。
「でも、君のお陰でスッキリしたよ。あそこでやめていたら、きっとこんな気持ちになれていなかったよ」
幼馴染さんは満足げだった。
でも、見つからなかったね。
「いいんだよ。それより今日はデートなんだ、もう時間はあまりないが行きたいとこはあるかい?」
そうだな。
僕は何も考えていなかった。
すると、とある電子看板が目に入り掲示されていたものを指さした。
あれ。あれ行こ。
僕らは少し歩いた先のこども館の屋上遊園地に来ていた。
そこで観覧車に乗ることにした。
「お、意外と高くまで上がるもんだな」
幼馴染さんは外を見ながら言う。
そうだね、少し怖いかも。
お腹の下の方が浮く感覚になる。
さっきまで歩いていた道や、下にいる人、車が小さくなる。
夕陽で染め上がっている街は幻想的だった。
「昔も一回乗ったことあったな」
幼馴染さんは少し笑う。
あ~あ、保育園の遠足。
親子遠足の時、動物園の遊園地でも乗ったのを思い出した。
「ああ、あの時君は怖くて泣いていたな。私にビッタリくっいてな」
うっ。
恥ずかしくなる。
確かに、これよりも高くあがっていて怖かったのを今も覚えている。
でも、もう怖くないよ。
「ほんとかい?」
疑いの目を向けてくる。
ホントだよ。
「じゃあ、今度行こうじゃないか。真偽を試しに。実験だ」
いいよ。
僕は幼馴染さんの誘いにのった。
「それはデートだね」
うっ。ま、まあそうだね。
意識すると、ドキドキする。
すると、もちろん幼馴染さんのスマホがなる。
後ろからはオレンジの夕陽を浴びながら。
「ふふ、またなったな」
幼馴染さんはスマホを振りながら言う。
その顔は笑っていて、嬉しそうに。
「私は30回君は27回」
月曜日になった、放課後理科室でノートパソコンを見ていた。
「7時間近く遊んでそれだけ、心拍数の変動があったわけだ」
それって実際どうなの?
僕はコーヒーを淹れ終わり幼馴染さんこパソコンを覗いた。
「ああ、実は他6組にも同じ実験をしてもらったんだがこれ」
画面には数字の横に数値が載っていた。
1女30男27
2女18男20
3女15男17
4女32男12
5女50男46
6女40男41
数値の変動は、男女そう変わらないことがわかった。
それと、下の2つはあきらかに数か多いのがわかった。
「4と5は恋人同士だ。4は3ヶ月、5は一年目位のね。恋人同士だとどうなのか調べたくてね」
これで何がわかるの?
「例えば、この2と3は同じような指数だろう?男女の指数を見てもそう大差ないことからこれは友情がそこにあると言っていいだろう」
幼馴染さんは画面を指差し言った。
「逆に4に関しては女の方があきらかに意識してると言っていいだろう。ここには友情よりも大きいものがあると言える」
あ、女の子が男の子を好きなんだ。
いわゆる片思いだ。
「そう、だから成立したとは言えない」
なるほど。
同様に恋人同士だと付き合いたての方は変動が大きい。
「このことから言えるのは、友情は成立するが例外もまたあり得る」
これじゃあ、調べた意味がないんじゃ。
そんな曖昧なというか、答えですらない答えでは、意味がないと思ってしまう。
「そんなことはないさ。実際何グループかは成果を出しているわけだ。それに毎回毎回実験が明確な成果を出すわけじゃないんだよ」
幼馴染さんは少し笑い、「まあ、そこが面白いんだが」と言った。
「それに今回は被験者が少なすぎる。こんなもんだとは、はじめから分かっていたのさ」
そ、そうなんだ。
どこか腑に落ちない。
が、幼馴染さんは満足げなのでいいかと思う。
「それにいい、結果が取れたしね」
どれのこと?
幼馴染さんに聞き返しても。
「いや、こちらの話しさ」
の、一点張りで何も教えてくれなかった。
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