第23話クールな幼馴染さん⑧
まだまだなる。
僕たちは今電車に揺られていた。
少し遠出して実験をするためだ。
通勤、通学時間をずらしたとはいえ、まだ少し多かった。
なんとか、一人分の席を確保して幼馴染さんを座らせた。
「すまないね、私だけ座ってしまって」
申し訳無さそうな顔をしている幼馴染さん。
いいよ、気にしないで。ずっと立ってたら疲れちゃうからね。
「そうかい?ありがとう」
ブッーブッー。
スマホがなった。
スマホを見ると、例のアプリの通知が来ていた。
あ、今。
「う、うるさいな」
幼馴染さんは少し顔を紅くしていた。
電車には一時間がちょっと乗って、目的の駅ビル街に着いた。
休日もかさなっているから人が多い。
「やはり、人が多いな」
そうなだね。はぐれないようにしないと。
僕が言うと、幼馴染さんは何かを思いついたようだ。
「手、繋ごう。今日はデート、だろ」
幼馴染さんは挑戦的に笑った。
で、デートじゃないから。
僕が否定すると、ピロン、っと幼馴染さんのスマホがなった。
「お、やっと君も照れたか」
なんか、恥ずかしいね。
「そうだろう」
幼馴染さんは少し自慢げな顔をした。
なんで自慢げなの?
「ふふっ。それはいいじゃないか。それより、ほら」
幼馴染さんは僕の手をとり歩き出す
「早く行くよ」
今日の幼馴染さんはテンションが高かった。
まず僕らは、中古ショップに来ていた。
僕は特に行きたいところがなかったので、幼馴染さんに任せたらそこだった。
幼馴染さんはこの近くに来るとよくここに来るらしい。
不要になった家電を分解してパーツごとに売ったり、修理したりして売っているらしい。
僕は始めてきたが、少し汚かったが以外に楽しかった。
足元にもカラーボックスに入った、よく分からい基板のようなものがあり。
もちろん棚にもいろんなものがびっしりと置かれていた。
なんかほしいのあるの?
幼馴染さんは、険しい顔をして一生懸命見ていた。
「ああ、次創るもののパーツが足りなくてね。探しているんだよ」
手に取り見て返し、また手に取り返しを30分ほど繰り返した。
普通なら呆れてしまうかもしれないが、僕は違った。
正直こうなるのは予想していた。
幼馴染さんとはよく出かけているので、その度こうなるのだ。
慣れた。
と、いえばそうなのだが、何より幼馴染さんが一生懸命な眼差しが好きなのだ。
真っ直ぐなの目が、だから飽きるなんてことはない。
ほしいのはあった?
店を出て聞くと幼馴染さんは首を振った。
「なかなかないね。劣化版なら沢山あるんだけどね」
店では、離していた手も店をでると自然に繋ぎ直していた。
「次の店に行っていいかな?」
もちろん僕はOKをだした。
次の店はさっきの店をよりキレイだった。
どうやらパソコンのパーツを売ってる店らしい。
ここでも、30分ぐらい商品を見て何も買わずに出た。
なかなかないね。
「ああ。ここなら見つかると思ったのだが」
幼馴染さんは肩を落とす。
次の店に行こう。
今来ている場所はそういった場所が多かった。ので、見れる場所は多かった。
「君はいいのかい?退屈だろう?」
ううん、大丈夫。一緒だから楽しいよ。
「そう言ってくれると、嬉しいよありがとう」
そう言うとスマホがなった。
その後、何店舗か行ったあと昼どきになっていた。
何が食べたい?
僕が聞くと幼馴染さんは少し悩むしぐさをして。
「そうだな。実は行ってみたい喫茶店があるんだがそこでいいかな?」
幼馴染さんは喫茶店巡りが趣味で、休日はよく喫茶店を巡っては感想を連絡してくる。
僕自身はあまり喫茶店には行くことがなかったので、少し緊張していた。
「ここだ。うん、いい感じだね」
駅から少し歩き、入り込んだとこにあった。
外見は古いお店といった感じだった。看板には【ツナリ喫茶】と、少し掠れた字で書かれていた。
カランカランと入ると鼻にコーヒーの香りが抜けていった。
「いらっしゃいませ。2名様ですね。こちらにどうぞ」
僕らとそう変わらないぐらいの男の人と、初老のおじいさんが二人で店を切り盛りしていた。
お客さんはお年寄りとスーツの男の人に、カウンター席で突っ伏している女の子で少ない印象だ。
でも、幼馴染さんは満足げに店を見ていた。
「ずっと気になっていたんだ。ここはあたりな気がするよ」
幼馴染さんはブレンドコーヒーとナポリタンセットを僕はブレンドコーヒーとたまごサンドを注文した。
「ここを出たら、君が行きたいところに行こう」
欲しいものはいいの?
「ああ、このあたりには無さそうだからね。また別のとこを探すとするよ」
そ、そう。
どこか幼馴染さんのテンションが下がっている気がした。
だが、顔に出すことはない。
「お待たせしました。こちらナポリタンセットです」
ナポリタンは様々な具が入っていてソーセージも大きく切られている。
昔ながらのナポリタンといった感じだ。
「美味しそうだね」
そしてすぐにタマゴサンドセットもきた。
タマゴサンドも、はみ出んばかりの玉子ペーストが大きいパンに挟まっていた。
た、食べきれるかな?
不安になるぐない、大きい。
「では頂こうか」
「「いただきます」」
一口噛むとパンの甘み。そして、玉子の旨味がすぐに口を占領する。
少しピリッと舌を刺激するのはマスタードだろうか、それもまたいいアクセントになっている。
「こっちも、美味しいぞ」
幼馴染さんが満足げに言う。
ナポリタンもなかなか大きい。
確かにここまでナポリタンのいい匂いが来る。
「一口食べるかい?」
幼馴染さんがフォークにナポリタンを絡め向ける。
あーんで?
流石に人がいる前だと恥ずかしい。
「何だ、だめか?」
幼馴染さんはいたずらに笑う。
「早くしてれないか?腕が疲れる」
うっ。
僕はフォークを口にいれると同時に幼馴染さんのスマホがなる。
ナポリタンを口に入れると、鼻からケチャップの香りが抜けたと思ったら、ピリッとした辛味がした。
辛いね。
「そうだな。これが美味しんだよ。ネットにもクチコミをそう書いてあった」
僕はコーヒーを口に含む。
マイルドな味はモカだろうか。それに酸味が少しあって舌を刺激する。
「そっちも一口くれるかい?」
あ、うん。
僕は一口も口をつけていない方を手に持つと、幼馴染さんが。
「いや、君が口をつけた方でいい。もう一口しか残っていないだろ」
確かにはじめ食べていた方は、もう一口もないぐらいしか残っていない。
そ、そう。
僕は、幼馴染さんの皿に玉子サンドをのせようとすると。
「食べさせてくれないのか?」
そう言うと、幼馴染さんは口を開けた。
薄いピンクのリップをしている、唇がひかる。
「早くしてくれ、意外と恥ずかしいのだが」
そう言われ、僕は幼馴染さんの口サンドを運ぶ。
幼馴染さんの口は、サンドが入るとすぐに口を閉じ僕の指まで食べた。
幼馴染さんの舌が僕の指に触れすぐに放した。
「おっと、すまないね。あまりにも美味しそうだったから」
薄く笑う。わざとだ。
すぐにわかった。
もちろんスマホがなる。
「美味しかった」
僕は食べ終わり、あとはコーヒーを飲むばかりだ。
「次は君の行きたいところに行こう」
それなんだけど。
「?」
僕は決めていた、幼馴染さんのさがしもの探すと。
「い、いいのかい?君は退屈だろう?」
幼馴染さんは驚いた顔をした。
うん。そもそも、誘ってくれたのは幼馴染さんだから。
「それは、誘ったほうが好きにしていいと?」
いや、そうじゃなくて。
たしかにその解釈もあるか。僕は訂正しようとすると。
「わかってるよ。君は優しいからね」
幼馴染さんは立ち上がり、伝票を手に持った。
「ここは私が払おう」
幼馴染さんは会計に向かった。
そして、僕のスマホがなった。
「ありがとうございました」
僕らは喫茶店を出た。
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