第22話かわいい幼馴染ちゃん⑧

 なんで?そうなるの?


 私は今幼馴染君に家にいる。

 母さんにお使いを頼まれてそれを渡して、そのままリビングで話をすることになった。

 正直気まずい。

 この間フッた女の子にを家に上げるとか何考えてるの?

 オレンジジュースでいい?

 「う、うん」

 今幼馴染君はキッチンで飲み物を用意しつつ母さんがあげた漬物を冷蔵庫に入れていた。

 「何?話しって。もう私に、会いたくなかったんじゃないの?」

 思わずツンとした態度をとってしまう。

 その、ことなんだけどさ。

 そわそわした様子の幼馴染君。

 すると、机に頭が当たりそうなぐらい、頭を下げた。

 ごめん。

 「え?」

 私は呆気にとられた。まさか謝ってくるとは思っていなかったからだ。

 自分勝手なのはわかってるけど・・・・。

 また、ご飯作って欲しいんだ。

 「なんで。じゃあ、なんであんなこと言ったの」

 幼馴染君はバツの悪そうな顔をすると、理由を話した。

 あの、あの時、いたんだよ。

 「あの時?」

 私は心当りがなく、頭を捻らす。

 生徒会長と公園で話してるの。

 「え?き、聞いてたの」

 私は無性に恥ずかしくなった。



 放課後、生徒会長に話があると言われ学校近くの公園に来ていた。

 正直、私は生徒会長のことがキライだった。苦手、ではなくキライだ。

 何故って、幼馴染君の悪口をよく言ってくるのだ。

 そんなの許せない。

 今も、すぐに帰りたいけど一応生徒会の話なら聞かないといけない、と思いついてきた。

 「あの。生徒会室じゃ、だめなんですか?」

 「ああ。この公園のアイス屋に来てみたくてね」

 「は、はぁ」

 答えになってないんだけど。

 と思ったが、アイス屋とは気になった。美味しかったら幼馴染君と来てもいいな。

 そんなことを思った。

 アイスは生徒会長が買ってくれた。

 それをベンチで食べようとのこと。

 するとまた。

 「君は一人の男子生徒の世話を焼いているみたいだね」

 またそれ。

 「はい、幼馴染なので。それに私がいないと何もできないので」

 と、少し口が緩む。

 何もできない幼馴染君をいいなと思う、私もなかなかヤバいな。

 「やめたほうがい」

 生徒会長の言葉に、胸が冷たくなり、同時に苛立ちも覚えた。

 「君は優しさでやってるのかもしれないけが、それは男子生徒のためにもならない」

 それはそうかもしれないけど。生徒会長には関係ないとけど。

「だから、もう関わらない方がいい。言っちゃいけなが、その男子生徒は忘れ物も多いし。成績も悪い。君の関わるべき人間だとは思えない。正直邪魔だと思うね」

 むっ。

 何言ってるんだ。この人は。

 「断れないだけなんだよね。僕が君を守るよ」

 え?

 この人怖いんだけど。

 「そ、そうですね。でも、それは生徒会長には関係ないと思うのですけど」

 私は生徒会長を睨んでいた。

 「私は、そんな彼が好きなんです。好きな人の悪口をいわて不愉快です」

 「で、でも」

 生徒会長もなにか言いたげだが言葉が詰まっていた。

 きっと、反撃されるなんて思っていなかったのだろう。

 「私帰ります。アイスありがとうございます」

 少しスッキリしたかも、散々幼馴染君の悪口言われたし。



 あれ聞かれてたの。

 まだ、付き合うとか。

 そんなことを思うと、顔が赤くなる。

 「き、聞いてなら・・・・。わかるよね」

 幼馴染君の方に目線を向けると、暗い顔をした幼馴染君がいた。

 あれ?もしかってほんとに嫌だったの。

 やっぱり・・・・。

 「え?嫌だった?」

 泣きそうになるが必死の我慢する。

 それはそうでしょ。嫌だよ。あんなこと思ってたなら・・・・。言ってくれればよかったのに。

 「ああ、そっか。そうだよね。ごめんね。キモかったよね。ごめん」

 あれ?

 なんか思ってた反応と違うんだけど。

 なれ、なんで。

 我慢していたはずの涙は意志に関係なく流れる。

 あれ?なんで2回もフられているんだろう。

 自分で自分が滑稽で。なにか期待していた私が馬鹿らしくなった。

「ごめんね。私帰るから。ほんとごめんね今まで」

 ずっと同じ言葉しか出てこない。

 椅子から立ち上がろうとしたら、うまく力が入らない。

 すると。

 でも。

 幼馴染君が口を開いた。

 でも、俺のことが嫌いでも。

 『これだけ言わせて。

 ずっと“好き”でした』

 「え?」

 頭がパニックになった。

 どうゆうこと?

 『いつも、朝起こしてくれたり。ご飯作ってくれたり、くだらないことで笑ったり。昔からずっと“好きでした”』

 「な、なんで?今わだじのごどぶっだよね。なんで」

 泣いてい、言葉に濁点がつく。

 フッたて、なんのこと?って大丈夫?

 どうやら幼馴染君は私が泣いてるのに気づいていなかったみたいだ。

 た、タオル持ってくる。あれ、ティシュのほうがいいかな。

 テンパって立とうとした、幼馴染君の手を掴む。

 「私のこと“好き?”」

 私は幼馴染君の顔を見て聞くと、幼馴染君は顔を紅くしてうなずく。

 「っっっっっう」

 声にならない、声が出て。

 「わだじも。わだじも“ずぎいい”」

 私は勢いよく立ち、幼馴染君に抱きついた。

   

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る