第20話クールな幼馴染さん⑦

 今日は実験に付き合うことになった。


 僕は理科室の前で立ち尽くしていた。

 流石に昨日大泣きしたので何処か気まずさを覚えて教室に入りづらかった。

 ドアに手を掛けてもなかなか引くことができないでいると、中から幼馴染さんが声をかけた。

 「入らないのかい?」

 僕はバレていたのかと、恥ずかしくなる。

 頬を赤く染め僕は理科室に入った。

 幼馴染さんはいつもと同じ窓際の席に座っていた。

 「やあ、やっと入ってきたのか、ずいぶん立ち尽くしていたようだが大丈夫かい?」

 幼馴染さんは薄く笑う。

 わかってるでしょ?その昨日さ・・・。

 僕は思い出しまた恥ずかしくなる。

 「人前で泣くことがそんなに恥ずかしいかな?」

 幼馴染さんはピンときていないみたいだ。

 幼馴染さんは人前で泣いたことないからわからないよ。

 それに、僕の勘違いで泣くなんて更に恥ずかしさを加速させていた。

 それに、僕は漢だから。漢は泣かないの。

 「そうゆうものかな?男だってなく人はいると思うけどね」

 幼馴染さんは手に持った本を閉じる。

 「それに、今どき男だの女だのと。もう遅いよ」

 幼馴染さんはまた笑う。

 そうだけどさ。

 わかっていても、強がりたくなるのは自然だと思う。

 「まあ、それはさておき。コーヒーを淹れてくれるかい」

 僕はコーヒーを淹れる準備を始める。

 今日は何もしてないの?

 ここのところこの会話がテンプレ化し始めた気がする。

 「ああ、今日は実験の準備していて、それを終わらせたとこさ」

 実験?

 僕が聞き返すと、幼馴染さんは足元から腕時計のようなものを取り出した。

 「明日実験に付き合ってくれるかな?」

 え?

 幼馴染さんは僕の返事を聞かずに話を進めた。


 ことの発端は幼馴染さんとクラスメイトの会話からだった。

 男女間に友情は存在するのか、という議論をしたらし。

 幼馴染さんに言わせると、議論にもならなかったらしい。

 そもそも、友情という不透明なもので言い争うのが愚かなことと。

 確かに友情は、その個人によって変わってくるところであろう。

 まして、男女、異性の中の友情とはなにか。

 そんなとこまで、話は進み幼馴染さんが実験することになった。

 内容として、この腕時計型心拍測定機を使い相手に対してどれほど心拍の変動があるかの実験だ。

 まるで、恋愛感情の調査みたいだ。

 ちなみに、この測定結果はお互いのスマホで確認できるようにアプリを創ってくれた。

 そして幼馴染さんはこの実験に何故か乗り気だった。

 愚かなんて言っていたくせに。


 そして、実験当日になる。

 今日は少し遠出して、隣県の駅前の商店街を回るとこにしていた。

 僕らは計測器を付け、最寄り駅で集まることにした。

 幼馴染さんの家で待ち合わせしたほうが、いいと思ったが、「そのほうがデートぽいだろ」と、言っていた。

 デートじゃないんだけど。

 とか思ったが口には出さなかった。

 僕は5分前には集合場である駅に着いたが、幼馴染さんが既にいた。

 「やあ、来たか」

 幼馴染さんは、長めの黒いスカートに白いワンピース、その上から厚手の青いパーカーを羽織っていいた。

 それに薄く化粧をしていた。

 なんか気合入ってるね。

 「もちろんとも、大事な実験だからね。それでどうかな?あまりファッションには自信がなくてね」

 似合ってる。凄くいいと思う。

 「そ、そうかい?」

 幼馴染さんはあまり顔を変えずにでも、声は嬉しそうだった。

 すると、ピロンっとスマホがなり見てみると、連動しているアプリから通知が来ていた。

 そこには、心拍上昇を確認しました。と、表示されていた。

 「と、そのような通知がいくわけだ」

 そう言う幼馴染さんの頬は少し赤くなっていた。

 なるほど。

 僕が納得すると、幼馴染さんは急ぎ足で駅の中に入っていく。

 「ほら行くぞ。今日は予定が詰まっているんだ」

 僕は慌てて幼馴染さんを追いかけた。

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