第18話妹幼馴染⑥

 幼馴染は強がっていた。誰にも心配させないように。



 幼馴染と出会ってもう一年近く経っていた。

 俺たちはよく遊んでいたが、学校が始まってからはそれぞれ自分の友達と遊ぶようになっていた。

 幼馴染ははじめ人見知りだったが、俺の友達とゲームを通して仲良くなると人見知りも克服していった。 



 ある日、幼馴染と下校中ばったりあった。

 「久しぶりに一緒」

 幼馴染がぽつりという。

 最近どう?

 俺が聞くと幼馴染は。

 「みんな優しよ」

 そっか。

 俺は安心した。

 人見知りを克服したと言っても、心配だったが杞憂だったみたいだ。

 「それより最近ゲームできる友達がいなくて」

 確かに幼馴染はゲームがかなり上手い。

 同い年の子だと、幼馴染のついていくのはキツイかもしれない。

 じゃあ、一緒にやるか?

 「ほんと?」

 幼馴染は嬉しそうに目を輝かせた。

 おう。

 その日は日が暮れまでずっとゲームをした。



 そんなある日。

 俺はトボトボ歩く幼馴染を見つけた。

 お~い。

 俺は声をかけたが幼馴染は振り返ることなく家に入っていた。

 なんだろう?

 次の日、俺は幼馴染の様子を見に幼馴染の教室を見に行っていた。

 明らかに様子がおかしかったので、気になったのだ。

 でも、そこのいた幼馴染の様子はいつもとほとんど変わらなかった。

 俺は自分が見間違えだと思い、何もしなかった。


 しばらくして、俺は現場に居合わせた。

 俺は放課後先生の手伝いで、3階屋上入口前階段の掃除を頼まれていた。

 まあ、手伝いと言っても俺が宿題をサボったバツみたいなものだ。

 

 なんでここなんだよ。

 と、思いながら俺は掃き掃除から始めた。

 すると、上の方から声がした。

 「おい!なんかいえよ!!」

 「叩いちゃ駄目だよ。バレちゃうから」

 怒鳴るような声と、嘲笑っるような声。

 気持ちの悪い声が2つ、それと泣いているような声が1つ聞こえた。

 い、いじめ?

 俺はそう思うと、一歩が重く感じた。

 踏み出すべき一歩がなかなかでない。

 冷や汗が出る。

 やっぱ、先生を呼びに行こう。

 俺が出ても何もしできないし。

 日和ってしまった。

 なぜなら、こんな侮蔑に満ちた声を聞いたの初めてだった。

 「泣いてんじゃねえよ!!」

 恐怖が俺を支配した。

 カシャン。

 つい俺は持っていたホウキを落としてしまい、音が出た。

 「ねえ、誰か来たんじゃない」

 一人が焦ったように言う。

 「もう行こう。チクったら殺すから」

 やばい。

  俺は咄嗟に隠れる。

 すると、上から女子が4〜6人降りてきた。

 「何あいつ、少し容姿がいいくらいで調子乗って」

 短い髪の女子が落としたホウキを蹴り飛ばす。

 他の女子たちも同調して何かを言っていた。

 俺は女子たちが通り過ぎるの、ただただ丸くなって待つことしかできなかった。


 結局、俺はいじめの現場の居合わせ止めることもできなかった。

 怖かった。

 あそこにいた子たちは自分とは違うような気がして、こちらにその刃が向くのがただただ怖かった。

 俺は、逃げるように帰った。

 忘れたくても、頭にこびりついたあの声は消えることなかった。


 次の日。

 俺は先生に止められら。

 「昨日掃除サボったろ」

 先生に怒られていた。

 俺は昨日聞いたことを話そうとしたとき、先生の言ったことに衝撃が走った。

 「昨日お前がしなかったから。かわりに――」

 え?

 幼馴染がかわりに?

 理解できなかった。

 じゃあ、あそこにいたのは幼馴染?

 なんで?

 「なんでって。なんか、そこにいたんだよ、あいつらいつも一緒だからな」

 汗をかき、血の気が引き呼吸が荒くなるのがわかった。

 「お、おい。大丈夫か?顔色悪いぞ」

 俺は昨日聞いたこと全てを先生の話した。

 「ホントか?」

 先生は目を見開き聞く。

 俺はうなずく。

 先生も明らかに動揺していた。

 「わかった。伝えてくれてありがとう」

 そう言って先生は職員室に向かっていった。


 ここで幼馴染には2つの可能性が生まれた。

 いじめていたのか。

 いじめられていたのか。

 どちらにしよ、俺は幼馴染と今まで通りの付き合いができる自信がなくなっていた。


 しばらくして、いじめに関するアンケートが実施された。

 


 ずっと、胸の何処かにつかかっていた。

 幼馴染の教室を見に行っても、幼馴染と数人の席が空いていて。

 後どうなったか分からなかった。

 だが、噂は聞きたくなくても広がり、また脚色されていくものだ。

 俺はその噂には耳を貸さない事にしていた。


 そんなある日だった。

 俺はばったり、幼馴染の母に出会った。

 

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