第11話クールな幼馴染さん④

僕が幼馴染さん似合うのは5年ぶりだった。


 図書室はいつも静かで、読書をするには最適だった。

 僕はいつも窓側の席で本を読む。本は保育園にいた頃に好きなった。

 理由はもちろん幼馴染さんのおかげだ。

 今日はもう一度『星の王子さま』が読みたくなり、図書室にあったのを読む。

 あの頃幼馴染さんが、読んでいたのと同じだった。

 昔は分からなかったこれも今はわかり時の経過を感じさせる。

 小学校に入ると会えると思っていた幼馴染さんは実は別の学校で、会えずにへこんだこともいい思い出だった。

 たまに思い出すことがある。幼馴染さんと過ごした日々を。

 もう一度会うことができたら僕は何を言うのだろう。幼馴染さんは僕のことを覚えているだろうか、なんて思う日々が続いていた。


 

 寒さが顔を出し始めた秋。小学4生頃。

 5年生に転校生が来たと話題なった。

 僕の学校では転校生が来るなんて珍しく、学年が違う僕らにも噂になるぐらいだった。

 「いいよな転校生」

 僕は友達と外でサッカーをしていた。

 「そうかな?」

 僕はさほど転校生興味がなかった。

 そもそも、学年が違うから授業も違うし会うこともない。

 それでも見たいと言った友達は転校生を見にいった。なので僕は一人図書室に行くことにした。

 その日は図書室はなんだか騒がしかった。

 なんだろ?

 僕は騒ぎの中心を目にしたとき自分の目を疑った。

 そこにいたのは幼馴染さんだった。

 幼馴染さんは背も髪を伸びていたがすぐにわかった。

 面影があったから。

 幼馴染さんとの日々がフラッシュバックする。

 すると。

 「おや、そこにいるのは」

 幼馴染さんは僕に近づく。

 「な、なんでいるの?」

 「やっぱり君だったか」

 幼馴染さんは僕声が届いてなかったみたいだ。

 幼馴染さんは僕の頬に手を当てる。

 「また君に会えるとは」

 幼馴染さんはうっとりして、顔を近づける。さすがにまずいと思い。

 「ち、ちょっと」

 大声でいうと幼馴染さんは自我を取り戻した。

 もともと注目されていたが更に注目度が上がっている気がする。

 「おっと、ごめんよ。つい、我を忘れてしまった」

 幼馴染は手も離す。

 僕が声をだそううとすた瞬間チャイムがなった。

 「おっと、もう時間か。まだ何も話せてない」

 幼馴染さんはつまらなそうに言う。

 「そうだ。放課後ここに来てくれ」

 そう言い残し幼馴染さんは去っていった。

 頬には幼馴染さんの手の暖かさだけが残っていた。 



 放課後。

 僕は言われた通り図書室行っていた。

 図書室に着くともう幼馴染さんがいた。

 「お、やっと来たか」

 幼馴染さんは単行本を持っていた。

 「いや、さっきは失礼したね」

 「それは大丈夫。それより、転校してきたんだ」

 幼馴染さんは頷く。

 「実は父が、こっちに家を買ってね。本当は前の学校の校区にする予定だったんだけど」

 少し、間を開けて。

 「祖父が倒れてね、祖父に家が近いこっちに来たわけだ」

 「そうだったんだ」

 昔幼馴染さんの口から出てくるのはおじいちゃんの話ばかりだった。

 幼馴染さんはおじいちゃんが好きだった。ので心配だろう。

 「でも、今はこっちに来てよかったと思っているよ」

 幼馴染さんは笑った。

 「君がいたんだ、心配も不安を吹っ飛んだよ」

 ドキッとした。

 保育園の時はなんとも想わなかった、ただの笑顔も、久しぶりに会うとドキッとした。

 その後は会えなかった期間にあったことを話した。

 それは、時間を忘れるほど楽しかった。

 

 「ふーん、君の家と私の家近いね」

 「そうなんだ」

 今は幼馴染さんの家の話をしていた。

 すると、幼馴染さんが思いつく。

 「そうだ、今から君の家に行ってもいいかな?」

 「え?僕の家?」

 聞き返すと幼馴染さんは頷く。

 「実は、君に見せたいものもあるんだ」

 まあ、断る理由もなく受け入れることにした。親は二人と仕事で家にいないだろうから、親の許可の心配もなかった。

 学校を出て、しばらく歩き僕の家が近づくと、幼馴染さんは一度家にものを取りに帰った。

 僕の家の位置は大まかに教えていたので迷うことはないだろう。

 十分程待つと、インターホンがなった。

 「待たせたね」

 幼馴染さんは台車に何やら荷物を積んであった。

 「なにそれ?」

 僕が尋ねると幼馴染さんは。

 「テレレレン、ユキクゾウ」

 国民的アオネコのイントネーションで言った。

 「ユキクゾウ?」

 なんとも言えないネーミングセンスに僕は顔を引きずらせる。

 「少し庭を貸してくれるかい?」

 「いいけど」

 僕と幼馴染さんは庭に移動する。

 「まあ、説明するより見たほうが早い」

 そう言って、機械に水を入れ。収納式の取っ手を出し回す。

 すると、幼馴染さんの顔色がどんどん悪くなっていく。息も絶え絶えだ。

 「だ、大丈夫?」

 「ハァハァ、だ、大丈夫だハァハァ」

 ぜんぜん大丈夫な感じしなけど。そう思っていると。

 機械が揺れ始め白い粉を出し始めた。

 「ゼェゼェ、や、やっと来た」

 幼馴染さんはありえないぐらい汗をかいていた。

 「なに、これ?」

 答えは幼馴染さんより先にそれが教えてくれた。

 「つ、冷たい。これ、雪?」

 「そ、そう。こ、これは雪を作る人工降雪機」

 雪はいきよいよく空を舞う。

 夕日に照らされ、オレンジ色や虹色に輝く。僕らは少し早い雪を味わった。

 「君の夢、これが一個目だ」

 「夢」

 僕は、夢、という言葉を口にすると思い出した。

 昔幼馴染さんに、時期ハズレの雪が見たいと、言ったことを。

 「残りの23個すべての創ると約束したからね」

 幼馴染さんは少し笑い。

 「時期ハズレとはいかなかったが、これで勘弁してくれ」

 「いいよ、これでありがとう」

 僕は夢中になって雪を見た。

 「君のその顔が見たかったんだ」

 その日以降僕らは約束の夢を創り出した。




あとがき

どうもあすペンです

『クールな幼馴染さん』お楽しみにいただけましたか。

次で過去編は最後です

次回は『妹幼馴染』ですお楽しみに

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