第2話クールな幼馴染さん①
学校の理科室に幼馴染さんはいつもい
る。
夕日の差し込む廊下を歩き、いちばん端の教室が理科室だ。
ガラガラ。
音立ててドアを開け教室に入る。
教室は薄いカーテンがしてあり薄暗くなっていた。
おーい来たよ。
幼馴染さんの姿が見当たらなかったので、声かける。
「お、やっと来たか」
声だけが教室内に響く。
「おやおや、私がどこにもいないから不思議だろ」
教室には僕だけ一人で、幼馴染さんはいない。
どこに隠れてるの?
「見けてごらん」
ふ~う。と、僕は、息を吐き幼馴染さんを探し始めた。
僕は教卓や机の下見てみるが、幼馴染さんは見つからなかった。
「ふふっ。まだ分からないのかい」
不敵に笑う声が聞こえた。
いやもうわかったよ。
僕はそう言って掃除用具の入ったロッカー
の前に立った。
「ほう、いいとこに目をつけたね」
やはりここだ。ここから幼馴染さんの声が聞こえる。
僕は生唾を飲む。
そして、勢いよくロッカーを開けた。
中には。
「ふふっ。残念だったね」
中には幼馴染さんお気に入りの猫の耳を付けたワイヤレススピーカーが置いてあった。
僕は、ワイヤレススピーカーを手に持ち周りを見渡す。
「いや、目の付け所は良かったんだけどね」
幼馴染さんの嬉しそうな声がした。
僕はワイヤレススピーカーの電源を切った。
降参降参。
僕は白旗を上げた。
「ふふっ。私の勝ちだね」
ワイヤレススピーカーを切ったのに声が近くら聞こえる。
僕は、もう一度目を凝らして見渡すと目の前が少し歪んでいるように見えた。
「私はここでした」
じゃじゃん。
幼馴染さんはセルフ効果音を言いながら歪みから登場した。
わあぁぁ!!
僕は驚き尻もちをつく。
「ふふっ。やはり君はいい反応してくれるね」
幼馴染さんは僕の方に手を貸してくれる。
僕は手を取り立ち上がる。
「大丈夫かい」
気遣ってくれる幼馴染さん。
心配するくらいならはじめから普通にいてよ。
反論する僕を横目にカーテンを開けに行く幼馴染さん。
「それはすまなかったね」
カーテンを開けると幼馴染さんの長い黒髪がキラキラと夕日に当てられひかる。細い目は不敵に笑い、左手に持っている布の説明を始めた。
「これを試したくてね」
なにそれ?
「透明マント君〜」
国民的アオネコみたいなイントネーションで何かを掲げてた。
透明マント君?
そう、聞き返すと幼馴染さんは頷く。
「そう、これは光の反射最小限までなくすことで擬似的に透明人間になるのだ」
説明しながら幼馴染さんはマント肩絡巻き頭だけが浮いているように見えた。
すごい。
関心していると、幼馴染さん得意げな顔をした。
「だろう」
なんか嬉しそうな幼馴染さん。
「少し喉が渇いたな、コーヒーを淹れてくれるかい?」
ここは理科室だが、幼馴染さんが勝手に持ち込んだコーヒーセットがある。
自分で淹れてよ。
そう言うと幼馴染さんは。
「おねがい」
首少し方向け顔の前で手を合わせる。
僕はこの顔にめっぽう弱かった。
わかったよ。
「やったね」
幼馴染さん笑う。
「いや、これを創るのに今日ずっとここにいて何も飲まず食わずだったから。お腹もすいたし、喉もカラカラさ」
それを聞き僕は呆れた。
また、授業サボったの?
「サボったて、人聞きの悪いな。実験のためしかなくさ」
幼馴染さんはよく授業をサボってここに入り浸っていた。
「今日は仕方なかったのさ。なんせ、いろんな学年が授業でここを使っていれなかったんだよ」
そんな話をしていたら、コーヒーを入れ終わっていい香りがたっていた。
「だからしかなかったんだ」
そう言ってコーヒーを一口飲む。
「うん美味し。君はいい旦那さんになるね」
コーヒーだけで?
僕が尋ねると、幼馴染さんは。
「少なくとも私は嬉しよ、旦那さんが美味しいコーヒーを淹れてくれたらね」
薄く笑う幼馴染さん。
僕はその表情にドキッとして、顔が赤くなる。
「ふふっ、照れたのかい?」
照れてない。
僕は強く否定する。
「まあそう言うなら、そうなんだろうね」
僕は一気にコーヒーを飲む。
口にはほのかな苦味といい香りが広がる。
「これであと13個だ君との約束は」
そう遠い目で言う。
その目は何を見ているんだろう?
たまにそんなこと思う。そこの見えない黒い瞳はいつも今を見ていないようなそんなきがしていた。
「うん?私の顔になにかついているかい?」
僕は否定する。
「そうかい。なら、私に見惚れていたのかな?」
ち、違う。
「そんな否定しないでよ、傷つくじゃあないか」
今はこのままでいいとも思う。この何気ない日常で。
「まあ、私はいつも君は見惚れているけどね」
再び顔が赤くなる。
幼馴染さんはいつも僕をからかってくる。
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