第1話かわいい幼馴染ちゃん①

 「お....て、起きてよ~」

 俺は体を、揺らされている感覚が体全体に伝わる。

 そしてゆっくり目を開け、体を起こす。

 「やっと起きた」

 少し呆れ気味に言ったこの子は俺の幼馴染である。


 明るめのベージュの髪はボブヘアーで、制服上から着たエプロンは身体のラインがはっきりして妙な色気を出していた。

 俺たちは今リビングにいた。

 「もう、起きるの遅いよ」

 そうプリプリしながら朝食の準備をする幼馴染ちゃん。

 ごめん、ごめん。

 と適当に返事をすると。

 「なにそれー」

 怒った。

 「私がいなかったら学校に遅刻するし、朝ごはんも食べないでしょ」

 幼馴染ちゃんはこうなると、もう止めることができなくなる。

 「だいたい、小学の時も中学も今もさ私が起こしーーー」

 幼馴染ちゃんは完璧だ。容姿端麗、博学穎才。何をさせて完璧な幼馴染がいると、俺の肩身が狭い。

 俺の親もことあるごとに幼馴染ちゃんの名前をしてくる。

 かと言って俺が幼馴染ちゃんのことを嫌いになることはなかった。なぜなら俺が幼馴染ちゃんのことを。

「て、聞いてるの?」

 幼馴染ちゃんは腰に手を当てて頬を膨らませていた。

 聞いてきます。

 「ほんとかな?キミの事おばさんからお願いされているからしっかりしてよ」

 幼馴染ちゃんの言うおばさんは俺の親だ。

 俺は片親で母親しかいない。母はバリバリのキャリーウーマンで基本的に家にはいない。

 だからといって寂しさを感じたことはなかった。それは俺が親に興味がないというだけではなく、幼馴染ちゃんがいるからだろう。

 幼馴染ちゃんは母の代わりにごはんを作ったり、朝起こしに来る。

 「もういいよごはん食べよ」

 そう言って幼馴染ちゃんは椅子に座った。

 机には味噌汁、玉子焼きに昨日残りの肉じゃがが湯気出して待っていた。

 「いただきます」

 手を合わせて箸を持ち、まずは玉子焼きに手を付ける。

 鮮やかな黄色に所々こんがりきつね色になっている。

 一口噛むとふんわりとした食感の後すぐにだしのいい香りが、鼻から抜けていくのを感じる。 

 「美味しい?」

 ふわんそうな顔で聞く幼馴染ちゃん。俺が美味しいと、答えると幼馴染ちゃんははにかむように笑った。

 「そっかそっか。えへへ」

 嬉しそうにご飯を食べ始める。

 いつもこのやり取りしてるよな。

 「え、だって。嬉しんだもん」

 少し恥ずかしそうな幼馴染ちゃん。

 「毎日作ってるけど、今日は美味しく食べてくれるかな?とか、この味付けにしたら気づくかな?とか」

 幼馴染ちゃんは顔上げて言った。

 「ごはんを作ってるときはキミのことしか考えれないんだよ」

 少し間があき、みるみる幼馴染ちゃんの顔が紅くなっていく。

 「だから...だから今日の夜も、明日の朝もずっとずっと聞くの」

 逆ギレぽっくなった幼馴染ちゃん。

 俺は、一つ聞いた。


 プロポーズ?


 「ちがーーーーーーう」

 幼馴染ちゃんが半泣きなったのでもうやめておこう、ごはんを作ってくれくなるといけないから。

 でも、一つ今日も幼馴染ちゃんがかわいい。

 

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