第15話
法務部の人の話。
「社長が会社を立ち上げた時は、ほんともう酷かったわ。人間をなんだと思っている、人間の記憶を操作するなど許されないことだ、って言われ放題。新聞もマスコミも、面と向かって批判はしないけど、倫理的にどうなのかって疑問を投げかけるような報道ばかり。嫌がらせの電話やメールが日常茶飯事だった。私はその時、世の中にはヒマ人が多いのを知ったわ」
「社長は、どんなに酷いこと言われても、冷静に対応していた。というか、無視してたんだけどね。本来そんな対応許されないんだけど、ふふ。当時はちゃんとしたマスコミ対応とか勉強不足だったし。でも、不祥事を起こしたわけでもないから、どう対応するかって感じなんだけどね。私なんか、本当にこの会社、大丈夫なのかしら、この仕事続けられるかしらって毎日不安だったわ」
「で、そういう逆風の中、ある時、有名なキャスターが、過去に家族を犯罪被害で亡くした知り合いがいるとかで、その人が悲しみのあまり病気になる様子を見ているのが辛い、忘れさせてあげたい、というような話をしてね、Q社はそういう人を救えるんじゃないか、って言ってくれたのよ。それで流れがちょっと変わってさ、徐々に同情的な意見も増えてきた。不思議だよね、世間って」
「社長は今もマスコミ嫌いだけど、そのキャスターだけは信頼しているって話」
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