第7話 怪盗団

 今日の学校の出来事やお互いの事を軽くだが話し合い、楽しい時間を過ごしてたら、もういい時間になっていた。

 流石に帰らないといけない。


「永谷様、どうされましたか?」


「もういい時間だし、今日はこの辺りで帰るね」


「あっ……はい」


 俺が切り出した事で篠坂さんの表情が暗くなり、寂しそうな雰囲気が出た。


「明日も学校で逢えるでしょ?」


「それは……そうなのですが……」


「そうだ、明日は俺の妹を連れてくるよ。篠坂さんも友達を作っておいた方がいいと思うから」


「永谷様……少々名残惜しいですが、今日はこの辺りにしましょう」


 ふぅ……分かってくれる人で良かった。

 俺は篠坂さんに途中まで見送られ、そのまま帰路に就いたのだった。






 ☆☆☆









 それから暫くして我が家に帰宅。

 母さんに軽く挨拶だけして急いで愛香の部屋に向かった。


「遅い」


「ごめん。家に呼ばれちゃってさ」


「は……?今なんて――」


「あの後、家に呼ばれたんだよ。だからある程度のカメラと部屋の配置は憶えてきた」


 だけど愛香は急に頭を抱え出してぶつぶつと小言を呟く。


「大丈夫なんですか?」


「大丈夫、帰ってくるまでにちゃんとルート考えたから。じゃあ俺行ってくるな」


 愛香の頭を軽く撫でると耳まで赤く染め、部屋を追い出されてしまった。

 久し振りに見たなあの顔。血の繋がった兄妹とはいえ、そんなに恥ずかしがらなくても良いのに。


「ぶっ飛ばしますよ……!」


「勝手に心の中を読むな!」


 愛香はある程度なら心の声聞こえるから、本当油断も隙もねえ……。







 ☆☆☆








 そして俺は部屋で怪盗団の指定の衣装に着替えた後、窓から外へ音を立てずに飛び出して目標ターゲットの家に向かう。

 その道中、秀太から追加オーダーが入ってきた。


「……本当急に無理難題を押し付けてくるな。ついでにこいつもさっさと頂くか」


 内容は何十億もするリングとか、ただ朝聞いたダイヤがある位置とは距離が離れてる。

 全く秀太の野郎、後で愚痴ってやる。

 さて例の屋敷に着いた訳だが……外には誰も居ないな。


「さっさと終わらせて帰るか」


 帰宅時に考えた侵入ルートを使って屋敷の中まで潜入することに成功し、まずはダイヤのネックレスがある部屋に向かった。


「ここだな……」


 音を立てずにこっそり侵入、そのままダイヤのネックレスを確保。今度は事前に連絡を受けた高額リングがある部屋に向かうが、それもあっさりと確保。

 それにしても……無警戒すぎる。見張りや見回りすらないってどうなってんだこれ。


「篠坂さんには悪いことしたけど、これも仕事なんでね。さっさと退散しますかね」


 お決まりの怪盗の強奪メッセージカードを置いてっと。


「誰だ……!そこで何をして――」


 ちっ、感の良い奴が居たか……。

 万が一の逃走用に持っていた煙幕を投げ、二階の窓から飛び降りてその場から撤退。そのままアジトに向かう。


 暫く走り続け、我らのアジトに到着。

 息を整えながら額の汗を拭い、仮面を外して部屋の中に入っていく。


「お疲れちゃん。ちゃんと手に入った?」


「おうよ。ほれ」


 例の物が入った小さな袋を手渡す。

 受け取ったのは秀太の許嫁こと、紀野未来きのみく。俺達は高校生だが、この人は成人。

 彼女も秀太の事を気に入ってはいるが、当初は親同士が勝手に決めた許嫁を嫌っていたらしい。


「流石はうちのエースちゃん。頼りになるねー」


「……それほどでも」


 ただ俺は彼女が苦手、すぐ子供扱いしてくるから。


「偉いぞー。そうだ!お姉さんがハグして――あいたっ!もうっ!何すんのさ!」


「止めろっていっつも言ってるだろ!もう子供じゃねえんだから」


「ふ、ふーん……言うようになったね」


 そんなに顔真っ赤にして言われても説得力がないぞ。

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