第十三淫夢の中の理想郷と現実


日本国には首相がいた、首相選挙で決められた絶対無二の存在。


その首相が暗殺された、とにかく、泥臭くなく、スマートであった、ただ、お金を沢山払った政敵の相手の金力と財力だけで、呆気なく、殺されてしまった。


代替品があっても、なくても、最終的な天命は同じだったのだろう。


早いか、遅いか、それだけの差異である。


童貞とは無関係だ、殺人的な意味でもまだ、童貞である。


戦争や傭兵の文化では初めての殺人を童貞卒業と言う。


問題はその後でその後の首相選挙になる前の代理人のトラウマによる悪夢。


夢の中では国会があった、国会では、暗殺されたはずの男が生きている。


「この国をよりよく守りたい、強く、強く、安全保障、安全圏を確保したい」


代理人は落涙さえしてしまう、このような極限状態では仕方のない症状だ。


妖怪、獏は、夢を食う妖怪である。夢の世界とは現実にとっては幻という嘘。


「戦争をしたい者がいる、朝鮮人総連の陰謀です、中国人の陰謀です」


そんな差別心丸出しの右翼精神が夢の中では反映されていた。


夢の中の国会で閣議決定された安全保障、代理人の首相はそれを現実に持ち込んだ。


虚ろな目つきで、それでいて、意気揚々と確信を持って非現実的なそれを現実の意見だと思い込んで、そのまま、自分の夢物語のような軍事力を増幅させていった。


その後、第三次世界大戦が何故か起きた、理由は詳しくは分からない。


しかし、前アメリカ大統領も軍事複合体の言いように操られていたように見える、軍事複合体という深い場所の政府ディープステートに攻撃の矛先をそらされた。


それによって、軍縮、愛と平和の推進の時代に一つの特異点が浮上してしまう。


銃さえあれば、皆を守れる、軍事兵器は沢山あれば、国は守れる。


日米同盟がより強固になったのが数年前であり、それでも、童貞は知らんぷりしていた、そんな事よりオナニーだった。鬱々とする破壊衝動タナトスよりも性衝動エロスを優先させた、少子化政策と、言ってしまえば悪いが、敵国に対する敵国の子供を減らす政策というのはかなり対極に位置している。昼の神アマテラス夜の神ニュクスの違いにも見える。


大学生活で軍事心理学を学ぶより、恋愛や性交についての心理学を学びたい、単純にいえば、もっと楽して、遊びたいというのが本来のありきたりな物語だった。


「あああああああああああああああああああっ!」


童貞は徴兵令が復活してなお、虚弱体質等の理由で不適正、不合格となる、彼は童貞のままであり、それでもなお、兵士という枠組みに収まりたかった衝動もある。


傭兵や義勇軍、義勇兵になれば、童貞卒業ワンチャンあったかもしれない。


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