第32話 瀬戸大橋開通による一本列島化がNR貨物再生に結びつくだろうし新幹線は早めに整備したいな

 4月10日 - 瀬戸大橋開通。


3月13日の青函トンネル開業と合わせて「一本列島」と呼ばれるダイヤ改正を東西のNRが共同して実施した。


 結局かっぱ橋道具街へは翌日も四人で買い出しに行くことになり、中華料理用の大皿に天丼や親子丼、カツ丼用のどんぶり、そばやうどん用のどんぶり、ラーメン用のどんぶり、ざるそば用のざる、そうめん用のガラス皿、アイスクリーム皿、カキ氷用ガラス皿にカレー用オーバルプレート、カレーのルーを入れるグレービーボートにステーキやハンバーグ用の大型鉄板まで買い足すことになった。


調理器具も大型中華なべとかパスタ用の深鍋などいろいろ買い足していたようだ。


「もうここまでそろうと飲食店が経営できそうだな」


 俺がそういうと浅井さんが笑って言う。


「なるほど、将来は小さな喫茶店とか定食屋さんをやるのもいいですね」


 喫茶店と聞いて俺は唐突に思い出した。


「ああ、浅井さんは秋葉原の雑居ビルの声優喫茶でも働いていたんだっけ」


浅井さんはこくっとうなずいて言う。


「はい、ですのでオムライスやトーストなんかだけではなくコーヒーや紅茶、中国茶なんかの作り方もばっちり覚えちゃいました。

 後は本屋さんでレシピ本も買っていろいろ試していますしね」


「なるほどね」


 そして斉藤さんも言う。


「私はあなたのお母さんにお味噌汁や肉じゃがの作り方とかを教わっていたわ」


「ああ、あの肉じゃががお母さんの味に似てるなって思ったけどそう言うことだったのか」


「あなたは特に大きな好き嫌いは無いみたいだけど、慣れている味のほうがいいでしょう?」


「うん、それはそうだよな。

 すごく助かるよ」


 なんか斉藤さんにはだいぶ気を使わせてるみたいで申し訳ないな。


 そんな感じで朝や夕方の食事時には浅井さんか斉藤さんが食事を作ったり、洗濯や掃除もしてくれたりしていた。


「まだ正式に結婚したわけじゃないし、同棲をしてるわけでもないけど、なんかもうすでに二人が完全な嫁さんみたいな感じだよな」


 そんな感じではあったがようやく新居での生活になじんできた。


 そして、東大への入学の日も近づいてきた。


 そしてテレビを見ると瀬戸大橋開通と3月に行われたNRの大規模ダイヤ改正で、他の路線ではすでに改正が実行されていたが、ここだけ予定になっていた本州と四国を結ぶ路線および四国のダイヤが今日から変わるということが放送されていた。


 これはNR貨物を持つ俺たちにとってはとても大きく、将来に再生工場都市を日本各地に作る上でもとても重要だ。


 廃車や廃材、粗大ごみの廃家電、家具などの輸送のメインには貨物列車を使う予定だからな。


 青函トンネルの本州と北海道が直接鉄道でつながると上野駅 - 札幌駅間を運行する寝台特急列車の”北斗星”や大阪駅 - 札幌駅間を運行する寝台特急列車の”トワイライトエクスプレス”などが走ることによって北海道への観光の機運が大いに盛り上がった。


 実際に青森・函館間は従来約4時間かかっていたものが約2時間に短縮され、北海道へ渡るのが便利になったのは間違いない。


 そして青函トンネルは列車専用で貨物は港湾での積み換え作業が不要となるシームレス輸送の実現により速達性や利便性が大幅に向上したこともあり貨物列車での輸送が拡大に転じることにもなった。


 車だとフェリーに乗せないといけないからな。


 さらに貨物船は大量に積めるが港が必要で足が遅く、輸送機は足は速いが空港が必要でしかも輸送費用が高価だ。


 これは人を運ぶフェリーや旅客機にもいえるが、特に航空機は途中で人や物を乗せたり降ろしたりが出来ない。


 だから地方空港を大量に作っても利用客があまりいなくて赤字だらけになってしまうのだ。


 しかし、鉄道の場合は駅があればそこで乗客が乗り降りできるし、貨物も途中で乗せたり降ろしたり出来る。


 なので可能なら北海道の札幌から九州の鹿児島までを新幹線でつないでしまい、現状では運行スケジュールが過密すぎる東海道新幹線のバイパス路線として北陸新幹線を京都や新大阪ともつなげてしまい、上越新幹線も新潟から秋田を経由して青森まで延長したほうがいいんだけどな。


 それらが開通すれば新潟や福井の再生工場都市も新幹線が通ることになるし、日本海側の活性化にもつながるだろう。


 そもそも日本の場合は飛行機を使わないといけないほど国土は広くないうえに、空港への移動での時間のロスも多かったりするので航空機の利便性が必ずしも高いとはいえない。


 一方の四国の瀬戸大橋のほうだが、こちらも東京駅 - 高松駅間を運行する寝台特急列車”瀬戸”のほか岡山駅 - 宇和島駅間を運行する昼行特急列車”しおかぜ”、岡山駅 - 高知駅・中村駅間を運行する昼行特急列車”南風”、岡山駅 - 徳島駅間を運行する昼行特急列車「うずしお」、岡山駅 - 高松駅間を運行する昼行快速列車「マリンライナー」などが運行を開始され四国各県から岡山へ出るのが便利になった。


 岡山は山陽新幹線が停車するからそこから列車で直接アクセスできるようになるだけで利便性がだいぶ向上したんだな。


 どうせなら松江から岡山・瀬戸大橋を経由して高知までを新幹線で縦断する中国四国縦断新幹線も敷設が実現してくれると米子と高知も新幹線に接続できるのだが。


 さらに新大阪から和歌山・徳島・高松・大分、そして宮崎経由で鹿児島までを結ぶ四国横断新幹線も敷設が実現してくれると和歌山が新幹線に接続できて便利になりそうな気がするんだがな。


さらにそれを北陸新幹線経由で東京から鹿児島まで直通でつなげればさらに東西移動の利便性が上がる気がする。


 実際に和歌山と淡路島を高速道路でつなぐ紀淡連絡道路の建設計画と橋の架橋計画はあったはずだから、そこに新幹線も一緒に通せるようにすればいいと思うんだが。


 明石海峡大橋が開通し、四国から京阪神地区への車でのアクセスが便利になると、従来線しかない四国の鉄道の速度的な優位性がなくなってしまうので四国新幹線は早めに実現させたほうがよいと思うのだ。


 鉄道は維持コストが道路より高いので利用客の確保が必須だが、人間だけでなく貨物・荷物もそこに含めることを考えればそこまで難しい事ではなくなると思うんだよな。


 それに首都圏や阪神圏を中心とした大都市圏と過疎地域の格差も解消されていきそうな気もするし。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る