第3話 ゲーム業界は当面安泰だが、メーカ自体がすべて安泰というわけではない。
「ところで、ホムコン向けや、サガマーク3向けのゲームに比べて、サンシャインのゲームソフトは開発費の高騰が著しいわけですが、これで今後もゲームメーカーとして利益を維持していけますの?」
北条さんがそう聞いてきたので俺はうなずいた。
「ゲーム業界は紆余曲折はあっても、当面の間。
少なくとも30年間くらいは安泰だと思うよ。
あ、そういえばPCジェネレーターは去年の10月30日に発売予定だった気がするけど、あっちは今どうなってるんだろう?」
「ああ、PCジェネレーターですが、発売延期はしておりましたが、12月の年末商戦前に結局は発売されています。
しかしながら、こちらがサンシャイン用にサードパーティやアーケードゲームやパソコンゲームの移植タイトルをごっそりと取り込んだことで、だいぶ販売台数には苦労しているようですわね。
本体の価格自体はサンシャインの約半額ですが、あちらはカード型カセットなのでそこまで容量は大きくないようですし」
「ゲームタイトルの製作元はMECアベニューと、ハデダゾンが中心といってもそこまで数は出なくなるだろうしな」
ニャムコやカプコなどをこちら側に取り込んでしまったのもでかいとは思うけど。
「また画像性能や音源性能でも、サンシャインがすでに出ているので、そこまで話題にならなかった様です」
「まあ、一年弱先行してサンシャインのゲームが出てれば、そう思われても仕方ないよな。
チップが16ビットなのは変わらないし、何よりこっちはテレビto-kyo系列に加えて旧アカヒ系のテレビ放送網でのCMもあるしな。
なによりこの時代だとパソコンゲームやアーケードゲームを家庭用ゲーム機でほぼ忠実に移植できるというのはかなりインパクトがでかいけど、それをすでにやっちまってるから、あっちはきついんだろうな」
実際PCジェネレーターの後継機はサードパーティがほとんど参入しなかったこともあって、本体も全然売れずにいつの間にか消えていったハードになってしまったしな。
「知名度が高いというのは本当に大きいですからね」
そこまで黙って俺たちの話を聞いていた斎藤さんが首を傾げた。
「一年でそんなに違うものなのかしら?」
俺はその言葉にうなずく。
「一年あればそれなりにゲームのタイトル数も増えるしな。
それがアーケードやパソコンで有名なタイトルなら余計さ」
「そうなのね、そうするとファンタジースター2の制作も早く進めないとまずいかしっら?」
「早めのほうがいいけど、ストーリーが破綻していたり、戦闘の難易度が高すぎるとユーザーがなんだこのクソゲーはって投げ出すからね。
むしろ戦闘難易度は少し簡単かなくらいでいいと思うよ。
実はジュエルス3の問題もそれなんだよな。
ただ単に難しくするだけだとユーザーが付いていけなくてやめるばかりになるだろうし、かといって2までと変わらないようでは新しく出す意味がないし」
「ストーリーはもともと私があらすじを書いて、あとは部下になる人に任せてるけどこういうのはもどかしいわね」
「まあ、俺たちが直接やったほうが早いっちゃ早いけど、ゲームの制作を直接やるのは幹部がやる仕事じゃないからな。
まあ、もともと俺はアイデをまとめて仕事はみんなへ投げてたつもりだけど」
俺がそういうと北条さんが俺をジト目で見ながら言った。
「結局プログラミングをはっきりやめたのは昨年だったように思いますが?」
「そりゃ2年の時まではプログラミングができる人間の人数も少なかったし、特段支障はなかったと思うんだけど……」
俺がそういうと北条先輩は怖い笑顔になっていった。
「そのせいで、他の会社などとの渉外交渉はすべて私と足利さんがやっていたわけですが?」
「それは、適所適材ってやつだったと思うんだけど……」
「いすれにせよ、あなたはライジングの顔としての面のほうがもう強いと思って下さいね。
無論、さまざまな判断などもしていただくわけですが。
で、話は戻りますがサンシャインは開発費の高騰が著しいわけですが、これで今後もゲームメーカーとしてもうけを維持していけますの?」
「ああ、それはまずはポケットサンシャインみたいな性能的にはさほど高くはない安価にゲーム開発ができる携帯ゲーム機でまずは補う。
これはうちだけじゃなくてサードパーティも同様に考えると思うよ」
「なるほど、確かに携帯ゲーム機のゲームはRPGやSLGなどのような大容量で声を付けたりして開発に時間がかかるゲームは今のところないですし、確かにそれは一理ありますわね」
「それと本命はこれから漫画やアニメとメディアミックス展開する予定の
俺がそういうと二人は首を傾げた。
「私にはそこまで儲かる気がしませんが……」
「私もコンピュータゲームに比べて儲かるとは思えないのだけど」
俺は苦笑しつつ言う。
「確かにTRPG市場やボードゲーム市場よりはコンピュータゲーム市場のほうが大きくはなるはずだけど、
最低限遊ぶには構築済みデッキがあればいいけど、勝つのに有利になるためには拡張パックを買うようになるはずだからね。
今までのカード-ゲーム、例えばトランプとかは一セット買えばそれで終わりだったけど、
なおかつカードにレアリティがあるから、当たり外れみたいな概念もあるからあたりが出るまで買うやつも出るだろう。
最初の構築済みデッキの価格は1,000円にする予定。
拡張パックの価格は200円くらいの予定だけど、何十パックか買って、その中に入っていたカードから、使えるカードを必要枚数選んでデッキに入れて遊ぶことになるはずなんでそれでもうける予定だよ」
「それは素晴らしいですね」
北条さんがそういうと斎藤さんは首を傾げた。
「でもそれだとお金を持ってる人が圧倒的に有利になってしまわないかしら?」
「確かにお金があるほうが有利にはなるけど、圧倒的ににはならないように調整はしてるんだよ。
もともと食玩なんかのトレーディングカードでも、お金のあるほうがコレクションに有利なのはあるしね。
無論ゲームへのモチベーションを保つための大会などのイベントも定期的に開催していく必要はあるけど 」
「それで、なかなか発売が進まなかったのね」
「明智さんたちには苦労してもらってるけど、バランス調整は大事だからね」
まあ、ガラケーのソシャゲの人気が高まるとともに、リアルな対戦相手が必要なTCGは敷居が高くなっていって市場は低下していくわけだが、その時はソシャゲも作り始めればいいと思うしな。
「ただ、サンシャインとかの据え置きゲームは生き残れるゲームメーカーは知名度と資金力のある会社に絞られてくるとは思う。
開発費がかかっても売れないとなると、その後はないって判断になると思うし、アーケードゲームでも同じような感じだしな。
だからこそよそに先駆けて新しいアイデアのゲームを出していくのは大事なんだけど。
あとゲームブックやアーケードのシューティングみたいにヒットが出るとそこにメーカーが多数参入して粗製乱造になることが多いから、そこで共倒れにならないようにしないといけないけどな」
俺がそういうと北条さんはうなずきながら言った。
「それはある意味うちは有利になれそうでもありますわね」
「ああ、多分そうなると思うよ。
やっぱり先行して知名度をあげておいてユーザーを早めに確保するのは大事だからな」
やはりゲームメーカーとしての知名度は大事なんだよね。
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